ファーストラブ。 (ページ30)

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起きたら朝だった。

時間を見ればいつもより1時間近く早かった。

二度寝できる……とは思わず、もう一度寝る気にはなれなかった。

伸びをして、冷たい水で顔を洗う。

鏡に映った自分は、少し疲れているような顔をしていた。

少し散歩にでも行こうかと、スゥエットのまま外へ飛び出した。

ｶﾞﾁｬｯ

全く同じ音が、横から聞こえた。

「「あ！！！」」

思わず大きな声を出してしまい、お互いに手で口を塞ぐ。そして笑顔になった。

出てきた相手はフィリックスだった。

朝イチでもかっこいい。

そう思いながら、自分の身なりのやばさに気付く。思いっきり部屋着である。終わった。

服装なんて気にしたこと無い。

でもやっぱりイケメンの前では気になる……！

そう思い頭の中で焦りながらもははは、と愛想笑いを浮かべる。

FX「朝早いね、どこ行くの？」

「ちょっと散歩にでも行こっかなーみたいな？」

FX「俺も散歩！一緒に歩こうよ」

そう言われ、少し戸惑う。

これは、、一緒に行っていいのか。

頭の中には昨日の出来事が悶々と浮かび上がってくる。自分はきっとチャンビンが好きで、チャンビンも自分のことを好きなはず……自意識過剰だけど。

だけどキスされたら、流石に。

返事に困っていたら手を握られた。

「へっ、」

FX「ほら、行くよ」

無理矢理手を引っ張られ、行くことになってしまった。

女みたいな顔してんのに、意外と力があるんだなぁ…と関心していたら、パッと手を離された。

FX「 Aって何が好きなの？」

「え？食べ物？」

FX「うん」

「アイス」

FX「料理は？」

「え、オムライス」

FX「俺も好き」

ニコニコっと笑いかけてくる彼に胸がざわつく。

あー、本当にタイプだ。

「一応女だけど一緒に歩いててスキャンダルにならないの？」

FX「んー。俺、Aとならなってもいいかも」

その言葉に思わず立ち止まる。

今、めちゃくちゃ恥ずかしいこと言ったよね？

ゆっくりそっちを向いたら思ったより顔が近くて、ゴクリ、と唾を飲む。

「 …っ！もう、帰らないと！」

そう言って今来た道を戻ろうとしたら、パシっと手を掴まれた。

FX「逃げないでよ」

そのままホールドされてしまう。

ごつくて顔からは想像できない、男らしい腕。

こんなの、やばいって。

顔がみるみるうちに赤くなっていくのがわかった。