【忍たま】諸行無常の響きあり (ページ5)

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2話蛙の夢ページ5

2話
『蛙の夢』

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深い、深い海の底にいる夢を見る。底には何も落ちておらず、ただ淡い水色の光がAの周りをユラユラと揺れている。

(私は……死んだ、のだろうか……。)

何もすることも出来ずに、じっとその光を見つめていると、光はたちまち姿を変え、幼い頃の自分の姿になる。

『私、忍者なんてなりたくないわ。』

可愛らしい姿をした女の子が、そう言う。

「……なぜ？」

『だって、忍者になったら死ななきゃいけないもの。だから私、絶対になりたくない。主のためとか、任務のために死ぬなんてバカみたい。』

ぷく、と頬を膨らませた少女は明後日の方を向いてしまう。あぁ、とAは瞼を閉じた。覚えている。確か入学したばかりの頃、Aは自分が忍者であることに不満を抱いていたのだ。普通の女の子なら、こんなことしなくてすんだのに、と。昔を思い出して少しくすりと笑い、Aは幼い自分と同じ目線まで腰を降ろした。

「なら、強くなれば良い。強い忍者は、任務で死んだりなんかしないよ。」

『それは……そうだけど……。』

「それに、強くならなきゃ、大切な人も守れない。私は強くなれる。大切な人を守ることが出来る。……それは、辛い思いをして一生懸命頑張ったからだよ。怯えていては始まらない。覚悟を決めずして、強くなることなど出来ないんだよ。」

そっと幼い自分の手を握る。

「こんな私でも、生まれてきて良かったと思える仲間達がいる。……そんな仲間を守れなかったと後悔したくない。必ず…そう思う日が、やってくるよ。」

言い終わると、満足したかのように幼い自分が消え、元の淡い光の姿になる。
歩く度、歩く度に光が灯り、消えていく。己の懺悔を表すかのように、姿を変え、戻り、そして消えていく。

最後に灯った光は、よく見知った同級生____竹谷八左ヱ門の姿をしていた。