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私たちの間には、クリームソーダがそれぞれ置かれている。

表通りのむせるような暑さを避けるように入ったこのカフェで、甘くて冷たいものがいいよねって一緒に注文してついさっき運ばれてきたばかりのもの。

『これじゃない、って…』
どう見ても普通のクリームソーダ。
しゅわしゅわの炭酸のメロンソーダに、白いアイスが乗っている。赤いさくらんぼ1つに、これは特別かもしれないけれど、くるくる巻いた細長いラングドシャが添えてある。

私は瑞稀くんの言っていることが理解出来ない。

この中でクリームソーダとして一番ベーシックでないものと言えば…
『ラングドシャが嫌い、とか?』
「違う。これ好き」
そう言って、いただきます、と丁寧に手を合わせた瑞稀くんは、巻かれたラングドシャを細い指でつまんでぱくっと食べた。
さっきまでの仏頂面はさっと消え、ニコニコと破顔して、サクサクとラングドシャを食べる瑞稀くんは、例えるなら最高に可愛いげっ歯類。


いよいよ理解できない。


「…ソフトクリームじゃない」
『え?』
「バニラアイスは、違う」
言われて細長いクリスタルグラスの中を透かして見ると、確かに入っているのは渦巻きのソフトクリームではなく、丸いバニラアイスだった。

3→←1 Mizuki.I 【story2】



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作者名:冷麦 | 作成日時:2019年7月5日 13時

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