6 ページ19
『じゃあ私これ引き換えてくるね!みんな寛いでて!』
もう新しいともだちが出来たなんて、よかったな。
龍我たち3人が楽しく高校生活を過ごせるように、もっと生徒会長としてがんばろう!
決意も新たに制服のままニコニコの私が向かったのは、うちから一番近いサーティーワンのお店。
でも、気のせいかな…やけに人が多い。特に女の子が。
ガラスのウインドウ越しにも可愛いお客さんばかりで店内がぎゅうぎゅう詰めなのが分かる。
サーティーワンが混む日と言えば…
今日って31パーセントオフの日なのかな?それともサイズアップ出来るサービスの日?かな?
龍我から渡された「バラエティーパックギフト券」をじっと見て、
『あ…シングル6個好きなの選べるんだ。何がいいか聞いてくればよかった…』
私ばかだなぁ、電話して聞こうかな?
そう思いながら店のドアを開けた瞬間。
同時に大音量の挨拶が私を出迎えた。
「いぃらっしゃいませえーーーーーーーーーっっっ!
サーティーワンアイスクリームへようこそーーっ!」
それは完全に聞きなじみのある声。
生き急いでいるような大声。喉を使う発声。なぜかくせになりそうな甘い滑舌。
明らかに体育会系の元気すぎるノリ。
…やっぱり。
目線を上げるとそこには。
襟付きの31ロゴの入ったピンクのシャツに短い黒エプロン、
ロールアップして履くデニムっぽい色のパンツ、
アイスのコーンの刺繍をワンポイントにした鮮やかなピンクの野球キャップ。
そんなサーティーワンの制服に身を包んだ高橋さんが満面の笑みでショーケースの向こうに立っていた。
「Aちゃんーっ!数日ぶり!いらっしゃいませっ!」
『高橋さん…今日はここでバイトなんですか?』
「そっ!おれここのアイス大好きなんだっ!」
そろそろ高橋さんのバイトの神出鬼没ぶりにも慣れてきた。なかよくなって以降ヒマワリみたいなパァっとした明るさが安定の高橋さんは、今日も霧ひとつない晴れやかな笑顔。
釣られて私まで楽しい気持ちになる!
『高橋さん、そのバイト服すごくいいですね』
「いやぁー照れるってっ!そんな褒めんなってっ‼Aちゃんてば!やめろって!」
あのくせになりそうなチャハって笑い声をあげて目尻に優しいしわを作る眼前の高橋さんは…ものすごく楽しそうで、ものすごく可愛い。
まさに多幸感の塊だ。
434人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:冷麦 | 作成日時:2020年6月5日 20時