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片付けと施錠を終えて、ちょっとSっ気があるんじゃないの?って思わざるを得ない那須くんと駅で手を振ってお別れ。
『見事に咲いたなぁ…』満開になった桜の下を歩く帰り道。
春になったら楽しいことが待っている。
そんな予感が冬の終わりからずっとしていたけれど、春になった今も私のこころを軽やかにノックしてる。
春が来たよ、楽しもうよ、って。
…この予感のまんなかに井上くんもいるといいな。
なんて思いながら鍵の掛かっていないうちの家のドアを開ける。
『ただいまー、龍我帰ってる?説明会おつかれ…』
と、そこには。
「お姉ちゃんお帰りなさい!」
「初めまして。お邪魔してます」
「あっ本当に生徒会長さんだ!可愛いー!」
「A、お帰り」
そこには、私にかっこいい顔を向けて挨拶をしながらも、
リビングのTVの前でペンライトをぶんぶん振ってはしゃぐ4人がいた。
画面にはお母さんが録画しまくっているあのデビュー前のジャニーズのアイドルが映っている。
かっこよく歌いながらローラースケートで舞い踊るすがたが流れている。
ペンライトはそのグループのロゴがでかでかと入ったもの。…お母さんのやつ。
そこではしゃいでいる4人、とは。
「お姉ちゃんのスピーチかっこよかった!俺ね、生徒会のナスさんにちゃんと挨拶出来たよっ!」
ニコニコと天真爛漫に笑って長い脚を折り畳んで正座している弟の龍我と、
「お邪魔してます。初めまして、金指一世です」
漆黒の夜空を映したかのような深い黒色の瞳に、整った鼻すじ。
神秘的な物語にでも出てきそうに浮世離れした美しい男の子と、
「俺、浮所飛貴です。
本当に生徒会長がお姉ちゃんなんだ…近くで見るともっと可愛い!やば!」
口を開いた時にちらっと見える八重歯が可愛い、
明るくて賑やかな雰囲気のかっこいい男の子と、
「回覧板持ってきたらこうなった」
透き通るような白い肌に優しい笑顔を浮かべている幼なじみの大昇。
『え…待って、情報が多い』
今この部屋にいるのは全員いわゆる「美少年」だ。
掛け値なしの嘘偽りなしにかっこいい。
しかも4人のうち2人は初対面。どちらも龍我とは違う中学校の制服を着ている…ねえどういう関係?
突然のことにリビングのドアに手を掛けたままびっくりしている私に、4人は練習したかのように…まるでグループみたいに息ぴったりに声を揃えた。
「「「「お帰りなさーい!Aちゃん(さん)!」」」」
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作者名:冷麦 | 作成日時:2020年6月5日 20時