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『っ、げほげほっ』
「わ、お姉ちゃん?紅茶!詰まった⁈」
『…何で今井上くんが出てくるの』
「だってお姉ちゃんのこと守りに来てくれたし!勘違いではあったけど、びゅんって走って来て壁ドン?してかっこよかった!
だからお礼するのかなって!」
興奮気味に頬を紅潮させる龍我の顔は純粋そのもので他意はない。
…やめて!余計調子が狂うんですけど!



「Aの彼氏なの?その井上くんって人」
「俺も分かんなくて。お姉ちゃんどうなの?「俺のだから」って言ってたけ…」『わーーー!やめ!』

大昇は興味津々だし龍我も目をきらきらさせてふたりで私を見つめているけど。
もう私は駄目。駄目駄目だ。

走ってきたとか、枠ドンとか、…俺のだから、とか。

お正月のフラッシュバックの連続であたふたするしかない私は、恥ずかし紛れに龍我を階段の上に無理矢理押しやる。

『龍我食べたら2階戻って!糖分摂ったでしょ!』
「えぇ?でももっと大昇くんと話したいしもっと井上くんの話聞きたい」
『今追い込み中でしょ!は!や!く!』

大昇を見て名残惜しそうにしてるけれど、目前に迫った若佐第一高の受験前の追い込み勉強中であることは事実だから、素直にそのまま「大昇くん、またね!」って2階に消えていく龍我。


紅茶のカップを空にした大昇が、それをしおにソファから立ち上がる。


「…Aって可愛いんだね」
目尻がとろんと見える昔と変わらない目をして、
それでも中学の頃よりはっきりした大人っぽい顔立ちになりつつある大昇は、どこか眩しそうな顔をしてそう言った。


『ん?今そんな要素なかったよね?からかってる?』
「照れてるの可愛い、ってこと。井上くんて人の話になってからずっと可愛い、A」
『照れてなんかっ』
「ほんとに美味しかった、ご馳走さまでした。井上くんによろしくね」
『ちょ!だから井上くんは関係ない…』
「がんばって!どうなったか後で教えてね!」
そう言いながら、久しぶりにゆっくり話が出来た幼馴染は回覧板を手渡して帰っていった。








「がんばって」って。

不思議ちゃんのくせに。
…なんなの。
何でそんな言葉。



大昇は昔からそうだ。
私のことなんかお見通し。
いつだって優しい顔してお見通し。
…中学を卒業して、こうして滅多に会わなくなっても、そうなんだ。

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設定タグ:井上瑞稀 , 橋本涼 , HiHiJets   
作品ジャンル:タレント
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冷麦(プロフ) - みちゃこさん» みちゃこさん、コメントありがとうございます。好きと言ってくださって嬉しいです!感謝です! (2020年3月16日 15時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
みちゃこ(プロフ) - このお話大好きです。これからも更新頑張って下さい! (2020年3月16日 0時) (レス) id: b50848dd48 (このIDを非表示/違反報告)
冷麦(プロフ) - おかゆちゃんさん» おかゆちゃんさん、コメントありがとうございます!きゅんきゅんしてくださって、素敵な感想を寄せてくださって、本当に嬉しいです…!励みになります! (2020年2月23日 0時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆちゃん(プロフ) - こんなにきゅんきゅんするお話に出会えて感動してます( ; ; )登場人物全員かわいすぎる…!本当に評価が一度しか出来ないのが悔やまれます(>_<)これからも素敵なお話楽しみにしてます! (2020年2月23日 0時) (レス) id: a7174925fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冷麦 | 作成日時:2020年2月8日 17時

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