Happy birthday dear 8433-2（Mizuki.I Ryo.Ha）

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ドタバタのキッチンを片付けて、2ターン目のチョコが冷え固まるまで手持無沙汰になった私。
家にいても相変わらず落ち着かない。勝手に大騒ぎするこころがうるさい。


『もう…出かけよ！』



コートを引っ掛けて向かったのは、たくさんのラッピンググッズが置いてあるお店。
午前中買い物に出たときはチョコを作ることしか頭になくて、ラッピングをどうするかがすっかり頭から抜け落ちてたなんて。
どうやって渡すつもりだったの私？手作り慣れしてなさすぎる。我ながら本当に恥ずかしい。


駅ビルのなかのそのお店は普段からラッピンググッズが多いのに、バレンタイン特需を見込んだらしく更に売り場が拡大されている。

賑やかに飾られたコーナーは女の子で大盛況。
色とりどりで柄も豊富なボックスたちは選ばれるのを得意げに待ってるみたい。

洗練されたレッドや爽やかなミントグリーン、赤みのない優しいくすみブルー。上品なライラックパープル、透かしレース柄のパールホワイト。
四角にラウンドにハートに、小鳥のカゴみたいなものまでかたちも様々。
どれも綺麗で可愛くてわくわくする。
女の子たちはみんな真剣に箱とリボンを合わせて見比べてる。


恋する女の子はみんな可愛い。
リボン1本までこころを砕いて選んで、想いを託そうとしてる。
いつだってひたむきで一生懸命なんだ。
…みんなうまく行くといいな。



そんなことを考えながらお会計を終えて店を出る。



と。




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「いらっしゃいませーっ！今ならバレンタイン前でチョコチップ追加サービス中ですーっ！どーぞーっ！」


後ろから耳に入ってきたのは聞き覚えのある声。






…知ってるけど思い出せないな。
運動部みたいに大きい声。
賑やかで甘い滑舌。
どこか生き急いでるみたいに喉を使うぎりぎりの発声。
…誰だったかな。



「おひとつですねっ！ありがとうございますーっ！」

ヒントみたいにチャハって独特な笑い声が続いて
…分かった。
癖になりそうだなって感じたこの笑い方。





答え合わせするように振り向いた、大きな声のする方にいたのは。


白い肌に太いまゆげ。
丸い大きな目をふちどる濃いまつげ。
そのコントラストが鮮やかな、一度見たら忘れない特別に綺麗な顔。


「あっ！Aちゃんだーっ！！！久しぶりーっ！」

店先で大勢の女の子に囲まれて、
白いシャツに黒エプロンを着けて眩いばかりに輝く笑顔を向けてくる賑やかなひと。
高橋さんだった。

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