こぼれおちる砂みたいに（Ryuto.S） (ページ6)

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「…何考えてるの」

それは作間くんの口癖。
初めてキスした時も、秋の落ち葉の時も、
いつだって口にした言葉。
何考えてるの、って。

そう言いながらずっと高い位置から覗き込むから、
その綺麗な三白眼で私を見据えるから、
こころまで見透かされてしまいそうだけれど。

『何にも。…敢えて言うなら、時が止まればいいなって』

目を逸らして呟いた言葉、それは私の本心。

これまで何も動かなかった、
全てを達観したつもりの、
その実臆病な私の本心。

付き合わなければ別れることもないなんて、
臆病なつよがりを行使した私の、
それでも結局迫りくるさよならに泣きそうな私の、
偽らざる本心。

「時を止める？そんなこと。無理、時は止まんない」

作間くんは分かりきったことをはっきり言う。
まるで世界の正論、道理…ことわりのすべてを知っています、そんなふうに簡単に言う。

世界のことわりを本当には知らなかった私に。

臆病なくせにどうしようもなく作間くんをすきな私に。

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