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冬の海辺をあてもなく歩いた。
何も知らないふりをして。
作間くんは茶色の長いコートを
砂に足を取られて、私はすこし置いてきぼり。
後ろには、
鉛色の冷たい波に
作間くんの大きな足跡。
そばには私のちいさな足跡。
どこまでだろう、一緒に跡を残せるのは。
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「見て、また見つけた！」
『作間くん、貝殻探しの天才だね』
「やっぱり？俺も自分が怖い」
白いちいさな貝殻をその細長い指でそっと拾って、
砂を落とすついでに柔らかい陽に透かしてみせる。
さらさらの黒髪も今だけは茶色く輝く。
得意げに頬をほんのり赤くして目をぎゅっと細めて笑う顔は、一番すきな顔。
そんな一瞬一瞬が憎らしいくらい愛しいから、泣きたくなる。
夏でもないのにこんなところに来て、
何が言いたいのかなんて。
作間くんが綺麗すぎるから、
知らないふりをし続けていたいよ。
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作者名：冷麦
| 作成日時：2019年12月28日 10時
