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「…だから。もう生徒じゃないって言ってるのに」




顔を上げた七瀬くんは、苛立っていた。
初めて見る怒りの感情の現れたその顔。
澄んだ目には、どこかかなしそうな色もあった。





不謹慎だけれど。

私はぞくっとして、正直に言うとドキッともした。
…七瀬くんの気持ちをそこにはっきり感じたから。



生徒としか見ていなかった静かな彼に、
言葉だけじゃない、
抑えられた私への熱みたいなものを感じたから。


かなしそうな目を見て初めて、
私を本当に好きなんじゃないかって思わされたから。


そして苛立つ表情に、男の子なんだ、男なんだって思わされるような私への執着も感じたから。




…不謹慎だけれど。

七瀬くんの一挙手一投足に、私はこころを捉えられはじめている。







「売り言葉に買い言葉、なんて。
俺の気持ちはそんなもんじゃないのに」


七瀬くんはやっぱり怒っている。

七瀬くんの気持ちは思ったより深いのかもしれない。
欲望ありきの言動だって決めつけてかかったことを後悔する。







『七瀬くん、ごめ…』


「これだけ言っても分からないなら、やり方を変えます」









急に。七瀬くんが席を立った。

私も思わず席を立つ。
…これは、まずい。そういう予感がしたから。


そうして机を挟んで立って向かい合う。

七瀬くんは背が高い。小柄な私は完全に見上げる体勢で、生き物的に不利だ。


綺麗なちいさい顔が上から私に向いている。
隣について彼が問題を解いている間に時々ぼうっと見る、頰のほくろも上から私を向いている。
いつもは伏せられたまつげも上から私を見下ろしている。





ついいつもと違う角度の、その立体感のある端正な顔に見入ってしまった時、


長い節々した指が私を捕まえた。



.

7→←5



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設定タグ:作間龍斗 , HiHiJets , 恋の病と野郎組   
作品ジャンル:タレント
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作者名:冷麦 | 作成日時:2019年9月20日 18時

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