SI 2-4 ページ27
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どうして。
いまどうしてあの時のことを思い出したんだろう。
キスすれば、なんて言葉。
意識してしまって、暗がりのなかで急に心臓が鳴り響く。高い夜空と澄み切った秋の空気に緊張が伝播していくかのように。
私の鼓動だけが、
高橋くんのぱちっとした二重の丸く驚いたその目だけが。
…ドキドキ効果音が鳴るみたいで、そのくせ他の音は高価なイヤホンみたいに遮音していて。
まるで世界にたったふたりだけ。
私と高橋くんしかいないように感じるのはなぜ。
やめて。
そんなはずないのに。
…初めて、キス…されかけたかも…なんて。
私、自意識過剰すぎる。
恥ずかしい。
知られたくない。
助けて誰か。
そんな気持ちを跳ね
がさがさかばんから出した包みをバッと渡す。
『…っ、高橋くん!』
「えっ?はい!Aちゃんっっ!」
『これ!…これ、どうぞ!』
勢いよく出した包みを受け取った高橋くん。
目をものすごく丸くしてかさかさ開いた、その白いラッピング、白いリボンをほどいた中には。
白に紫紺のラインが入った野球部のユニフォームに似せて作った、ちいさなフェルトのおまもり。
「…これ…」
『うん。誕生日、プレゼント。大したものじゃないけど』
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冷麦(プロフ) - らぐさん» コメントありがとうございます! 高橋くんて「青春が服着て歩いてる」って思っているのでそのあたり表現出来たらなあと書いたので…すごく嬉しい感想をありがとうございます!2つめのほうもとても腑に落ちる言葉で嬉しいです、大切に読ませて頂きました! (2020年4月22日 19時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
らぐ(プロフ) - 冷麦さんが書く少し寂しい静かな作間くんも好きですが、青春臭く、キラキラとした優斗くんも大好きです!長くなってごめんなさい、これからも体調に気をつけて更新頑張って下さい^_^ (2020年4月21日 22時) (レス) id: 63299f834d (このIDを非表示/違反報告)
らぐ(プロフ) - 更新ありがとうございます!なんて言うんでしょう....すっごく青春を感じました、!!真っ直ぐな優斗くんも、優斗くんが大好きな主人公ちゃんも、不器用なお父さん(笑)もみんなが愛おしく、あーこんな気持ちも味わってたなーという懐かしく、温かな気持ちになりました。 (2020年4月21日 22時) (レス) id: 63299f834d (このIDを非表示/違反報告)
冷麦(プロフ) - りおさん» りおさん、ありがとうございます!完結しました! ウキウキワクワクして読んでくださったなんて嬉しいです!私もその言葉につられてウキウキしてしまいました。本当に嬉しいです…!更新へのお心遣いも嬉しい…素敵な感想をありがとうございました! (2019年9月18日 11時) (レス) id: 5b6161b271 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 完結おめでとうございます!短編集のはずなのにメンバーのストーリーがリンクしていると言うか、次の話のメンバーが出てきて次はこの人なのか!!とウキウキワクワクしながら読んでました!冷麦さんの作品すべてが好きです!これからも更新頑張ってください! (2019年9月18日 9時) (レス) id: 65c270f629 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冷麦 | 作成日時:2019年8月27日 15時