cream soda for you-3（Ryuto.S Yuto.T ）

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川沿いを歩いて、神社前の通りに私たちは着いた。

神社の赤い鳥居まで続くこの道は、いつもはただただ静かで時々猫がゴロゴロする程度の石畳。

今、道沿いの家の周りは習字の白い半紙みたいな紙がカミナリのように紐で張り巡らされている。お祭りでよく見るやつだ。

神社の赤い鳥居の手前まで、いろんな名前の入った赤い提灯がたくさん並んでいる。
その提灯が、帳(とばり)がおりた通りをぽうっと明るく染めている。

ずらっと並んだ屋台はとても賑やか。ぱっと目につくだけでもイカ焼き、わたあめ、きゅうりの一本漬けなんてお店まで。
夜店のオレンジのあかりたちは、見ていって、寄ってって、みたいに揺れて手招きしている。



『わ…すごい！』


久し振りのお祭りの景色に私は息をのむ。
ひともたくさん。人気の出店には列が出来ていて、通り行く波の邪魔をして、でもそれをやり過ごすみんなの顔も楽しそうで。

すごくわくわくする。そうだ、これだ。お祭りってこういう雰囲気だった。



『楽しそうだね！何か食べよっか』

既にすごく楽しくなった私がそう言うと、作間くんは真面目な顔をした。
「一通り見て作戦を立てよう。急(せ)いては事を仕損じるって言うから」

そう言ってあのキツネみたいな三白眼をもっとじとっとさせて、最重要課題に取り組む、みたいに真面目な顔をしている作間くんは…

なんて言うか、すごく可愛い。
可愛くて面白い。
このお祭りをすごく楽しみにしていたのが分かる。貪欲に楽しみたい、みたいな気持ちを感じる。

作間くんから静かに、でもしっかりと伝わる熱に、私のテンションもつられて簡単に爆上がりになる。

『うん！見ていこ！』






でも。
すごく賑やかで、行き交うひとが多くて。
思ったようには進めなくて。
更にゆかたの足もとが気になって、どうしてもゆっくりになってしまって。

すこし間をあけて隣にいたはずの作間くんが前の方に離れて、
前に行ったと思った背の高いさらさらの黒髪の頭さえも、人波に攫(さら)われて消えてしまう。



『あ…』


作間くん、見えなくなっちゃった。

でも仕方ないよね。この人混みだもん。
残念だけど。
この波から出られたらLINEでも送るとして、別々に楽しむしかないかな。

残念だけど切り替えよう。
今を楽しもう。




ぶつからないようにゆっくり進む。
本当はさみしいなって、思ってしまいながら。







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その私の手を、誰かが引いた。

優しく引いた。




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