World of dark Ⅳ (ページ3)

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岩本くんの声と、ふっかさんの腕。
俺は何もしなくても守られていた。
それになんの違和感もなかったし、ただあの男の子が怖かった。
でも、あの子が手を銃の形にしたときに既視感を覚えた。
あれは。
その後、撃つんでしょ？
そしたら、穴が空くんでしょ？

知ってるのは…俺だけ？
前に、出なきゃ。
教えなきゃ。
ああ、もう、なんでこんなに奥にいたの、俺は。

「めめっ！」

叫んだ。
走った。
でもサラサラの髪の毛はふわりと一瞬浮いて、それから落ちていった。
ドサリという音と、アスファルトに広がる赤。
みんながめめの周りに集まっていく。

でも、ここで、ただあの子を逃しちゃだめな気がした。

人を傷つけるは苦手なんじゃないの、なんで、こんな…規格外すぎ…」
「苦手だよ。多分期間開けないと無理。でも流石に、前にこれ使ったのは君かな？…結構前だったでしょ。傷、ふさがった？」
「っ、」

傷がないのにズキズキした。
疼くの意味がようやく分かった。
でも、俺は負けらんないんだよ。
みんなに守られてる分、返したい。
きっとみんなはそんなのいらないって言うだろうけどね、俺はそうしたいの。

みんな泣きそうな顔してる。
康二くんなんてもう涙で顔がぐっちゃぐちゃ。

「次も、その次も、ずっとずっと俺に傷をつければいい。俺の体にだけなら、穴を開けても、何してもいい」

だからもう、みんなに干渉してくんなよ。
俺だけにしろよ。
…消えろよ。

度を超えた怒りと恨みは無となって現れて、なぜかオレの心は凪いでいる。
ただまっすぐ、男の子を見つめた。
どこかへ行ったその子を追いかける気にはならなかった。
俺を、じっと睨んで、行った、よね？
俺を嫌って、恨んで、傷つければいい。

その恨みが全部俺に向きますように。
めめも、康二くんも、阿部ちゃんも、佐久間くんも、舘さんも、翔太くんも、岩本くんも、ふっかさんも、誰も。
誰も傷つけさせないから。