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外に出た瞬間、風が男を宙へと飛ばす。
突然のことに受け身の取れない男は、全身の右側を強打した。
小さな雑草がうねうねと動き、太くなり、男の足に巻き付く。
地面は男のいたところだけがひび割れ、不安定になる。
突然雲がかかり、雷が男のすぐ前に落ちた。
「う、うわぁっ…な、なんなんだよ、これ…」
男は怯えながら首をぶんぶん振って周りを見る。
しかしその視界は渡辺を映さない。
nb「涼太涼太涼太涼太涼太涼太涼太涼太…ああああっ…何、なんで？おかしい…うわあああああああああああっ…涼太っ！涼太…」
まだうずくまって叫んでいる渡辺が命じたわけではない。
彼はただ、怒り、悲しみ、混乱し、絶望しているだけだった。
それでも彼が怒れば怒るほど雷鳴は轟き、悲しむほど雲が押し寄せる。
混乱するほど大地はひび割れ、揺れ動き、絶望に叫ぶほど植物は動き、敵をとらえようとする。
何もしない、何も望まなくても、彼の「力」は彼の敵を排除しようと動き出した。
「おいおい…ねえ、止まってよ…ウソだろぉ…？」
男は引きつった笑顔でそう言い、そして雷が髪の毛を焦がす恐怖と、植物に体を引っ張られて千切れそうな痛みに耐えた。
それでもそれはとどまるところを知らず、次はギチギチと男を締め上げる。
間もなく笑顔で取り繕うこともできなくなった男は痛みと恐怖で醜くわめき出した。
「なあ、おい！はなせ、はなせよ…っ！やめろ、やめろっ！い、嫌だ、嫌だあああああっ」
声だけ見れば渡辺に引けを取らない。
でも男にはその感情を「力」にすることはできなかった。
ーーー
ru「翔太くん、翔太くん！舘さん生きてるから！」
nb「涼太、涼太ぁ…ねえ、涼太…？」
ラウールは必死に語りかけた。
それも渡辺には届かず、外では男の絶叫も聞こえる。
dt「らう…翔太のとこまで、いかせて…？」
小さく消えそうな声が聞こえ、ラウールはそれに従う。
宮舘は渡辺のそばに行くと、頭をふわりと撫でた。
ビクリとして顔を上げた渡辺は、自らの瞳に映る弱々しく、それでもしっかりと渡辺を捉えて微笑む宮舘を見つけた。
nb「りょぉた…？」
dt「ん、りょおたです。ちゃんと生きてるから、安心して？」
それを聞いて渡辺の目からは大粒の涙がボロリとこぼれた。
混乱、悲しみ、絶望は安堵へと変わり、それからラウールが巻いてくれたのであろう、紅く染まった包帯を見て、さらなる怒りが湧いてきた。
…殺すから。
渡辺はその手に宮舘が創ったライフルを構えた。
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かれん(プロフ) - るむぽさん» わー!?誤字報告感謝です!!すっごく助かります！訂正させていただきました！ (2020年8月26日 21時) (
レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
るむぽ(プロフ) - 10ページ？の阿部ちゃんの漢字が「安倍」になってますよ^^ (2020年8月26日 20時) (レス) id: f787327a83 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - みーちゃんさん» ありがとうございます！これからもお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年8月26日 17時) (レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - すごく面白いです！更新頑張ってください！応援してます (2020年8月26日 15時) (レス) id: 721259c029 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かれん | 作成日時：2020年8月22日 9時
