・ ページ3
とりあえず幹部室に入ると、七本さんの言うとおり誰もいなくて、ひとまずほっとする。
人がいたらヤバいもんね。
…まあ、そのときは頑張って倒すと思うけど。
その部屋にはローテーブルとソファしかなくて、寂しい印象を受ける。
でも、それ以外は、特になにもない。
これで帰る？
それは、やだ。
まだ、足りないよね。
倒さなきゃ。
俺が1人でやるの。
褒めてもらうの。
静かに部屋を出て、更に上を目指した。
ーーー
「やあ。待ってたよ」
「っ、！？」
ドアを開けると、そこには男の子がいた。
その声は俺の会ったことのあるあの男の人と同じで。
でも、驚いたのはそこだけじゃなくて。
だって、男の子がいるのは、聞いてた。
でも、こんなの聞いてない。
多分誰も知らない。
ボスが、こんななんて。
男の子は黒い椅子に寄りかかっていて、そこに座っているのはやつれたおじさんだった。
髪は白髪が多く混じって、頬はこけている。
目は虚ろで口を半開きにし、その肩は震えている。
「……え？」
俺が驚きの声を漏らすと男の子は嬉しそうな、蕩けそうな顔で「あはっ」と笑った。
「うふ、うふふ。いい顔。それがみたかったんだぁ…9人とも嫌がるからァ…どうしようと思ってさぁ…組織に聞いたら「力」がほしいって言うから。どう！？どう！？この前この子の指示で君たちを襲わせたんだけど、どうだった！？止めはさせてないみたいだけど、痛かった！？辛かった！？悔しかった！？えへ、えへへへ。あははははっ！」
この子と言いながらおじさんの頬を撫で、狂ったように笑う男の子はすごく怖くて、これを狂ってる、っていうんだなって思った。
俺の怪訝な視線に気づいた彼はゆっくりとこっちを見つめて、微笑んだ。
その顔は、綺麗で、見惚れてしまいそうだった。
「だめだよ。もう君たちはこっちに来ちゃ。だって、僕が殺すから！殺す、殺す殺す…ずっと正義のヒーローを気取っていて！正面から潰してあげる！」
そう言って、それから少しうつむいた男の子の口は奇妙に歪んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 364人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かれん(プロフ) - るむぽさん» わー!?誤字報告感謝です!!すっごく助かります！訂正させていただきました！ (2020年8月26日 21時) (
レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
るむぽ(プロフ) - 10ページ？の阿部ちゃんの漢字が「安倍」になってますよ^^ (2020年8月26日 20時) (レス) id: f787327a83 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - みーちゃんさん» ありがとうございます！これからもお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年8月26日 17時) (レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - すごく面白いです！更新頑張ってください！応援してます (2020年8月26日 15時) (レス) id: 721259c029 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かれん | 作成日時：2020年8月22日 9時
