黒と橙の場合。 ページ14
目黒は向井と共に眼鏡の男の前に立った。
目黒は小さく「羽を止めろ」と命じ、男は落ちてくる。
向井はその隙に狼となり、男の腹に爪を突き刺そうと腕を伸ばす。
しかしそれは想定よりも早く空へと飛び上がった男がギリギリで避ける。
向井は次は鬼になる。
目黒は久しぶりに見る黒い角に思わず見入り、男は動きを止める。
向井は謎のコンテナを軽く持ち上げ、男のいる上空へと放り投げた。
近くに来ると自分の何十倍も大きなコンテナを、驚きもあってか男は避けられず、直撃を受ける。
再び落ちてくる男に狼へと姿を変えた向井が爪を向け、今度こそ軽く太腿を裂いた。
「…っ、はあ…」
太腿の痛みに空へと飛ぶのが一瞬遅れる。
それでも向井の追撃は避けたが、目黒の弾が右肩に当たった。
その衝撃でさらに後ろに倒れ込み、そこに次こそはと向井が爪で引き裂く。
すっと足を引っ込め、あたったのは足首だったが、立つことは難しそうだ。
そこで男はようやく空___自分の領域___へと戻る。
目黒の声にもほとんど反応せず、地上へ落ちる前に体勢を立て直すようになった。
向井の投げるコンテナも動きの遅い鬼の姿に慣れれば避けるのは容易く、むしろその遅い動きに合わせて弾丸を撃ち込まれるのは向井のほうだった。
「……さて、どうしました？攻撃手段はもうありませんか？」
kj「くぅ………っ」
低く唸る向井に恍惚の表情を浮かべ、そして銃を向ける。
なんの躊躇いも、タメもなく、無造作に撃たれた弾に向井は危機一髪で回避する。
心臓を狙ったであろう弾は半身になった向井のすぐ前を通り過ぎて、男は低く舌打ちをする。
kj「あぁっぶなぁ…」
mg「康二、気をつけて」
kj「ん、ありがと」
なんてこんな会話の間にもバン、バンと銃を撃つ音は聞こえて、目黒も向井も避けるばかりで攻撃に転じることがなかなかできない。
向井は基本「力」のスピードに頼っていた為、人の姿での回避が得意ではない。
目黒も組織にいた頃にひと通りその才能でこなしているが、強力な「力」を使う戦い方では回避も、スピードも、パワーでの突破力も、何も必要なかった為に、回避が特に得意と言う訳でもない。
2人はどうすることもできずに、それでもただ戦闘不能になる事態だけは避けようと回避を続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 365人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かれん(プロフ) - るむぽさん» わー!?誤字報告感謝です!!すっごく助かります！訂正させていただきました！ (2020年8月26日 21時) (
レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
るむぽ(プロフ) - 10ページ？の阿部ちゃんの漢字が「安倍」になってますよ^^ (2020年8月26日 20時) (レス) id: f787327a83 (このIDを非表示/違反報告)
かれん(プロフ) - みーちゃんさん» ありがとうございます！これからもお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年8月26日 17時) (レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - すごく面白いです！更新頑張ってください！応援してます (2020年8月26日 15時) (レス) id: 721259c029 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かれん | 作成日時：2020年8月22日 9時
