通常業務 −case 4− ページ39
woman side
私が勤める会社は、会社じゃない。
そういう、裏のお仕事をするためのカモフラージュ。
いっちばん初めに就活でミスってどこにも内定貰えなかったとき、声をかけてきたのがここだったってだけなんだけど。
なんでか分かんないけど末端の構成員から中間管理職くらいには上り詰めた。
なんて言うのかな、直轄部下とかはいないけど、雑用はしなくて良くなったかも。
……でもまあだからってやっぱり私は普通の人だから。
できれば普通の会社に就いて普通に働きたかった。
でももう無理でしょ？
だから、せめて優しい人間でいたいな、なんて思ってしまったんだ。
ーーー
帰り道、誰かがもめているのを見た。
それは男の人2人と、車椅子の男性が1人で、2対1の構図。
そこはあまり人通りが多いとは言えなくて、誰も止めに入る人は居なかった。
「邪魔なんだよ、お前。今すぐ帰れ？」
「おら、早く！」
車椅子の男性は他にも罵声を浴びせられ、それでも何も言い返さずじっと下を向いて耐えていた。
「ぉらよっ！」
「っ、！？」
そのうち2人のうちの1人が車椅子をガンッと強く蹴り、車椅子の男性は倒れた。
それから2人は満足したのか、笑いながらその場をあとにした。
「だ、大丈夫ですか！？」
慌てて駆け寄ると、男性は弱々しく笑って「大丈夫です」と、大丈夫じゃなさそうな顔で言った。
「よくあるんです、こういうこと。まあ、こんなだし、仕方ないんですけど」
「…怪我、とかですか？」
「いえ、下半身不随、って言うんですかね、ちょっと、昔いろいろあって…すみません、肩貸していただけますか？」
「あ、はい」
男性は座ったまま車椅子を立てると、肩と車椅子を掴んで腕の力で座った。
その顔はホッとした様子で、それが余計に私の胸を痛めた。
「…あの、今日は何をしに？」
どうしても気になって、聞いてしまった。
「…そこのお店のケーキが美味しいって聞いて。行ってみたくなっちゃって。まあ無理でしたけど」
「…ご家族とかに、行ってもらうとか、」
男性の顔は笑っていた。
でもその表情は私でも分かるほどに暗く、悲しげになっていった。
「…すみません。私、なにか言っちゃいました…？」
「…あ、いえ。俺、両親がすでに他界してるので。……すみません、話重くって」
それに私が泣きそうになった。
この人は、強い。
なんで、こんなに優しいんだろう。
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かれん(プロフ) - 晦由さん» うわぁぁ、すみません!また設定ミスりました…あのページはもう少しあとのお話です。訂正させて頂きました。混乱させてしまって、本当にすみません!教えてくれてありがとうございました! (2020年12月5日 23時) (
レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
晦由(プロフ) - 34ﾍﾟｰｼﾞ、多分違う話が入っていると思います…(？)意図的だったり私の気のせいだったらすみません。 (2020年12月5日 23時) (レス) id: c44f20117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かれん | 作成日時：2020年11月23日 21時
