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「えっと、俺…ごめん。聞いちゃだめだった?」
ab「ん〜ん、大丈夫。あのね、俺、二重人格ってやつなんだよね」
「へ、」
にじゅうじんかく…?
俺ね、まだそんとき10歳にもなってないのね?
…わっかんないよ。
俺が首を大げさに傾げると、阿部くんは苦笑しながら説明しようと体を前に乗り出してくる。
それに合わせて俺もぐいっと前に乗り出すとまた笑われる。
ab「俺の家ね、なんかいろいろ厳しくって。辛くて、耐えられなくって。でも、それを共有する人もいなくって。どうしょうもなくなったときにもう1人の俺が出てきてくれて。その俺はねぇ、思ったことはちゃんと言えて、でも空気も読めて、狡猾で。俺をいつも助けてくれるの」
「…かぁっこいい…!」
ab「ふふ。ありがと」
また阿部くんは微笑んで、その顔が俺は好きだなぁって思った。
その後もいろんな話をした。
なんと阿部くん、俺より年下。
2歳下…かな?
いや、見た目でかな〜、とは!
一瞬!
思ったけど!
大人っぽすぎて忘れてたよ。
びっくりじゃん。
阿部くんママは教育評論家?とかっていうよく分かんない仕事をしてて、阿部くんはテストで100点を取るとか、成績オール5じゃないと駄目だとか、お母さんの言うことは全部聞くいい子じゃないと駄目だとか。
俺なら2時間でアウトだよ。
1日もたない。
お父さんも立場ある人___それも何かわかんなかった___らしくて、お母さんのやり方に賛成してたとか。
俺から見たら阿部くんは完璧だけど、まだだ、とかって言って叩かれたり、色々あったんだって。
…それは辛い。
阿部くんは繊細なんだね、きっと。
俺の話も聞いてもらった。
「虚弱体質でさぁ、俺。お母さんもお父さんも、育てるのが面倒くさくて病院に押しつけてる。だから学校も行ったことなくて」
にゃは、と笑うと、なぜか阿部くんが辛いような痛いような顔をした。
「…どしたの?」
ab「…何もさせてもらえない、って、1番辛い、よね。って思った。佐久間くんは何も悪くないのに、虚弱体質ってやつで生まれちゃって、愛情を与えてくれないなんて」
ごめんね、辛いのは佐久間くんだよね、なんて言って涙を流してくれる阿部くんに、俺が驚いちゃった。
「えっとわー、泣かないで?」
ab「うん…ごめんね」
阿部くんは少し経って落ち着いたら、俺の目尻に指を伸ばした。
阿部くんの指になにかの液体が移って、初めて、俺が泣いてるんだて気づいた。
そっか、俺、辛かったんだ。
そんな感情、知らなかった。
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かれん(プロフ) - 晦由さん» うわぁぁ、すみません!また設定ミスりました…あのページはもう少しあとのお話です。訂正させて頂きました。混乱させてしまって、本当にすみません!教えてくれてありがとうございました! (2020年12月5日 23時) (レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
晦由(プロフ) - 34ページ、多分違う話が入っていると思います…(?)意図的だったり私の気のせいだったらすみません。 (2020年12月5日 23時) (レス) id: c44f20117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かれん | 作成日時:2020年11月23日 21時