欠陥−case of green− ページ27
fk side
我らが阿部ちゃんは、優しい。
俺らが怪我して帰ったら、重い怪我なら泣きそうになりながら怒って、軽い怪我なら優しく手当してくれる。
無傷で帰ったら帰ったで、ほっとした様子で「おかえり」って言ってくれる。
ラウや康二とは違う、落ち着いてるけど、誰より俺らを思ってくれてる。
そんな阿部ちゃんの主なお仕事はハッキング。
俺らは頭使えないから、そういうのは全部阿部ちゃん頼みなんだよね。
それから、普通に強いと思う。
まぁ、これには理由があるんだけど。
銃の腕は確かで、ちゃんと動けるし、状況を判断できるから、阿部ちゃんがそういう仕事をして帰ってきても、どこにも血がついてないことが多い。
たまに怪我をしてても、「軽傷だし、そのほうが楽しいから」…だって。
何が言いたいって、阿部ちゃんは頭いいってこと。
阿部ちゃんが阿部ちゃんであるときも、そうでないときも。
ーーー
戦場では、阿部ちゃんは阿部ちゃんじゃなくなる。
いつもの優しい顔をどこかに隠して、悪魔のような顔を覗かせる。
特に敵が数人だけのときなんかはそれは顕著に現れる。
阿部ちゃんがナイフを使うことはまずなくて、全部距離をとった上で弾を正確に当てていくスタイルが基本。
今日の敵はナイフだけしか持ってなくて、半身になって阿部ちゃんへ向かっていく。
それなりのスピードだったけど、阿部ちゃんは笑って、右肩を撃ち抜いた。
それでもそれなりに経験は積んでるのか、男は止まらなくて、肩から赤い血が流れているとわかった瞬間獲物を左手に持ち替えて向かってくる。
ab「……あはっ…」
男の耳には、きっとこの声は入ってなかったんだろうな。
聞けば、思わず足がすくみそうな、心底楽しんでいるような、そんな声だったから。
阿部ちゃんは左肩も撃ち抜いて、そのまま両膝を素早く壊す。
男は顔から前にコケて、恐る恐るあげた顔は赤くなっていて、鼻から血を流していた。
でもそれ以上に目を引くのは、その表情。
その顔は真っ青で、恐怖を全面に表していた。
じっとりと汗が浮かんできて、地面に力なくついた両手は小刻みに震えている。
その視線の先、なんて、見なくても分かる。
愉悦に満ちた阿部。
こいつが怖がってるのを見て、愉しんでるんだ。
だって、この阿部ちゃん…ううん、阿部は、そうだから。
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かれん(プロフ) - 晦由さん» うわぁぁ、すみません!また設定ミスりました…あのページはもう少しあとのお話です。訂正させて頂きました。混乱させてしまって、本当にすみません!教えてくれてありがとうございました! (2020年12月5日 23時) (レス) id: f582612e68 (このIDを非表示/違反報告)
晦由(プロフ) - 34ページ、多分違う話が入っていると思います…(?)意図的だったり私の気のせいだったらすみません。 (2020年12月5日 23時) (レス) id: c44f20117a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かれん | 作成日時:2020年11月23日 21時