くすんだ闇に溶けゆく雪は。

欠陥 −case of red− ページ18

ab side

9人だけの組織、Melt。
だけの、なんて言ったらちょっとかっこいいかもだけど、実際は人が少ないのにそれに見合わないたくさんの仕事でへとへと。
大口の仕事もよく来るから、十数人、もしかしたら何十人相手にこっちは2、3人なんてザラ。
…今日みたいに。

俺なんて戦闘要員でもないのに、こうやって放り出されること多いし。
まあでも、完全に戦闘とは離れた目黒も目黒で忙しそうだし、何も言えないけど。

…で、今日は舘さんと2人で、ぽいってされたんだけど、改めて思ったことが1つ。

舘さんって、強い。
十分に距離をとって銃を撃ちながら横を見ると、何人もを相手に傷1つない綺麗な姿のまま、口元に笑みを浮かべているのが目に入る。

別に安全第一な俺みたいなやり方ってわけじゃない。
なのに、傷がない。
ナイフは逸らして、銃は避けて、…っていうか銃を持ってた奴のほとんどは撃つこともできずに殺された。

舘さんは積極的に戦うのに、何故か危険が少ない。
…いや、こんな仕事ってだけで他より危険度は格段に上がってるけど、その中でみんなと比べて、かな。
幼馴染だけど、翔太は特に違いがよく分かる。
翔太はいつでも傷があって、肌自体は白くて綺麗なのに、赤黒かったり、紫みたいだったりする傷跡が痛々しくて、その肌に違う印象を持たせることになってる。

翔太に関して言うと、まあ仕方ないよねってところもあるから、なんとも言えないけど。
でもやっぱり。

凄いなぁ。
って、ただ単純に思う。

それに舘さんは、人の心を掴むのも上手。
女性に優しくて誰にでも礼儀正しいから、好印象なんだろうな。

ホントなら、舘さんは1人でやっていけるくらいの力があると、思う。
ハイスペックだし。
でも、ね。
翔太から声が失われたように、舘さんにも他とは違うところがあるんだよね。

…舘さんと翔太は、できるだけ同じ仕事に行く。
でも今日は、翔太が昼間別件に行ったから、夜は休みってことになって今この場にいない。
じゃあ舘さんも昼間にして康二をこっちにすればいいじゃんってなるけど。

できないの。

舘さんは、昼間の仕事を受けられない。
彼の昼間っていうのは、あまりにも不安定だから。

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