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** 秀一 side
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「...今の、誰からですか...って答えるわけありませんよね」
「分かっているならなぜ聞く」
「そんなの、気になるからに決まってるじゃないですか」
通話を切ってから後悔した。
少々自分にしては焦りが過ぎていたと。
きっと声色にも出てしまっていたはず。
洞察力・推理力共に組織内でトップクラスの
「まあ、誰にだって秘密の1つや2つはあるものでしょ」
「ほぉ...お前らしくないな。そんなにバレたら危険な秘密でもあるのか?」
「ありませんけど?僕にはもう何もない...だって、」
"あなたによって殺されたから"とでも言いたいのだろう。
勿論、奴はそんなことは言わない。
ただ、あの日から俺に向ける奴の眼差しが変わった。
大事な人を見殺しにした、悪魔でも見るような憎悪に満ちた目。
間違いなく、今の奴の標的は俺だ。
いつ殺されるようなことがあってもおかしくない。
「言っておくが、今俺を討っても怪しまれるのはお前だけだぞ」
「えぇ、そうでしょうね......スコッチの件であなたの株は急上昇した」
...そうだ。
俺はあの件で組織の幹部入りを認められ、先ほどAに伝えたジンとの共同任務にこぎ着けることができた。
勿論、今はまだAには言わないつもりだ。
あいつはそうは思わないかもしれないが、さすがに"自分の出世のために大事な部下の親族を見殺しにした"とは思われたくない。
「今度、ジンと組むそうじゃないですか」
「あぁ...耳が早いな」
「コードネーム持ちの人間の中では有名な話ですよ。と言っても、僕はベルモットから聞きましたが」
...あのババア、まだ生きてたのか。
見た目は30前後に見えるが、その正体は60目前の老いぼれのように思えてならない不気味な女。
バーボンを相当気に入っているみたいだが、何か企んでいるのだろうか。
ただ単に情報屋として買ってるだけなら良いが...
「...気をつけた方が良いですよ。あのジンという男は」
唐突に呟かれた言葉だったが、しっかりと耳に入ってきた。
「それは...経験談か?」
バーボンは俺の質問に答えることなく立ち上がるとキッチンに向かった。
豆を挽く音がする。
「...あ」
「なんだ」
「いえ...いつもの癖で、3人分挽いてしまっただけです」
チラリと見えた奴の横顔は、あの日屋上で見たAの横顔と重なった。
無論、理由は分からないが。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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