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「...初めまして。野中Aです」
樫村さん、と名乗ったその男性は顔が酷く疲れているように見える。
あのヒロキの父親だそうだが、一体私に何の相談を...？
「怪しい者ではありません...と言っても、初対面でいきなり相談に乗ってくれなんて頼まれたら疑いますよね」
「いえ。ヒロキ君から少しだけあなたのお話を聞かせてもらったことがあるので」
「それは良かった。実は、そのヒロキのことで相談に乗っていただきたくてですね...」
そう言ったところで、樫村さんは少し戸惑うように口を噤んだ。
言うべきなのか、言わないべきなのか...握られた拳に迷いが見える。
「あの...その前に私から1つだけ質問をさせていただいても？」
「え、えぇ...構いません」
きっと何かデリケートな事情があるんだろう。
周囲の人間に安易に相談できない何かが。
私に言う決心が付くまでの時間潰しとして、前々から聞いてみたかった疑問を投げかけてみることにした。
「なぜヒロキ君のお母様が亡くなられた時、あの子を引き取らなかったんですか？」
ヒロキの類まれな才能を伸ばすためにアメリカへ留学の形で渡り、母親と暮らした。
ともに歩んできた母親が亡くなって1人になってしまったヒロキをなぜ日本へ連れ戻さなかったのか。
私は不思議で仕方がなかった。
「私も初めは日本へ連れて帰ろうと思ったんです。もうアメリカでは十分に知識を得られただろうから、日本へ帰っても何も問題ないだろうと。でも...遅かったんです」
「遅かった...？」
「えぇ...
シンドラー社長...そういうことだったのか。
あの日、ヒロキが悲しそうに話していた理由は。
ただ家族を愛していただけの少年の悲痛の叫びは。
「もう、ヒロキは私の扶養対象に入ったから心配するなと」
「...そんな」
「あのトマス・シンドラーは、彼女がまだ病と闘っていた時から既にヒロキの扶養手続きを進めていたんですよ」
信じられない、と言いたいところだが。
あの親父ならやりかねない。
金になるものは物であろうが
こちらの界隈では、1つの新製品の開発に必ず1人は追い詰められて死者が出ていると噂になっていた。
そんな汚いやり方の積み重ねで、あのシンドラーカンパニーは大きくなっていったんだと。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます！r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (
レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか？ (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします！ (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね！もう感動しました。続き楽しみにしています！これからも更新頑張ってください！ (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...！貴重な情報提供をありがとうございます！間違ってなくてよかったです...とても安心しました（＾◇＾） (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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