10 ページ30
** 零 side
.
でも、俺は。
この人生でまたと巡り会えない大事な友人を亡くしてしまった。
...自らの手で、あいつを組織に売ってしまったんだ。
_________ お前が仕掛けたあの盗聴器、誰の携帯に付いていたと思う?
あの日、珍しく息を切らせた
組まされてからずっと怪しんでいた奴を告発する絶好の機会だと思って企てた作戦。
そして、俺と同じく奴を目の敵にしていたジンに協力を要請した。
ライと白崎と俺の3人でついたある任務の帰りに寄るところがあると言って、奴が車から降りた日。
もしかしたら何か弱みを握れるかもしれないと、俺は白崎の反対を押し切って奴の跡をつけた。
背後気配の察知に長けている奴のことだから、途中で気付かれて巻かれてしまったが。
奴が所持していたあの精密機械を入手することが出来たのは、奴が宮野明美に呼び出されて席を空けていた時。
俺を巻いてでも隠し通したかったことは何なのか、手掛かりを探しに奴の部屋を物色してたまたま見つけたものだった。
組織にシェリーという幼き有能な科学者がいることは知っていたが、エンジニアは聞いたことがない。
自分が知らないだけかもしれないが、どちらにしろ奴を問い詰めることができる材料には違いない。
そう自信を持ってやってきたはずなのに......いや、所詮"はずだった"んだ。
___________ 悪いな、バーボン。俺の目当ては奴じゃあない。
ライに盗聴器のことを聞かされてすぐにジンのところへ向かうと、彼はそう言いながら心底面白そうに笑っていた。
ジンの狙いはライではなく、最初からスコッチ......白崎だったんだ。
絶望感と罪悪感に両側から挟まれて押しつぶされそうになるのを耐えながら、顔に"いつもの顔"を貼り付けた。
抑えろ、抑えるんだと自分に言い聞かせながら必死に耐えた。
この世界では、"騙される方"が悪いんだ。
...俺が不注意だったんだ。
ジンは、前々から白崎と親しかった俺のことを疑っていたのかもしれない。
将又、ライとジンが手を組んでいたのかもしれない。
まあ、そうにしろそうでないにしろ、ここでボロを出せば確実に殺される。
日本警察の誇りと威信にかけて任務を全うし、最善の策と判断し死を選んだ亡き友に恥じるような行為であるとは分かっている。
でも、今俺がすべきことはこの組織で一歩でも早く幹部の核に潜り込むこと。
...それ以外、ない。
.
180人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ