【名探偵コナン】この世に存在するすべての悲しみを私に。-2-

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家に帰ったってやることは1つだけしかない。

何としてでも、お兄ちゃんが私に託してくれたメッセージを解読するまでは絶対に諦められない。

実は、一度ジェームズさんに提出してしまったのは、意外にも破損部分が大きすぎたから。
でも、血液で水没状態になってたバッテリーに気になるものがこびりついてて。

疲労と睡眠不足で完全に頭が回っていなかったせいで、最初に見つけたときはスルーしてしまったけど。
今になって、ちょっと心当たりがあることを思い出した。


部屋に着くなり、上着と鞄をソファに放り投げて例の携帯電話と道具を机の上に並べる。

...やっぱり、どこかで見たことがある。
このバッテリーのカバーに付着してる粘り気のあるもの...

何かが貼ってあって剥がれた痕なのだろうか。
ここに貼る物と言えば...携帯の製造番号が明記されてるあのシール、とか？



「...ん？」



なんだ？この小さな黒い結晶みたいなの。

ピンセットでそれを摘まみながら開発の時にしか使わない遠視眼鏡をかけてよく見てみると。

この部品、もしや......！！
私は机の引き出しにしまってあった"あるもの"を取り出した。



「......なんで、これがっ...」



そうだと確信した瞬間、あまりにもの衝撃に心臓が大きく跳ねたのを覚えた。

なぜなら、その黒い結晶の正体は。
私が赤井さんに頼まれて開発した"発信器兼盗聴器"だったから。



「あの日、赤井さんに手渡したはずなのに...」



つまり、これを扱えるのは赤井さんだけ...じゃあ。
これを仕掛けたのは赤井さん？

いやいや、仕掛けるメリットがない。
あの赤井さんの言葉といい、メールアドレスのこといい、彼らは普段から行動を共にしていたはず。
監視する必要がない。

じゃあ、誰の仕業なのか。

私の仮説では、兄が自決した理由は組織内部で外部出身の疑いをかけらればれたから。
犯罪組織だけでなく、公共の警察機関なども裏切り行為による情報漏洩を防ぐために他者の手で畳んだり、自決を促すケースは少なくはない(勿論、漏れない限り世間に知られることはない)。
兄もこれと同じような状況に陥っていたと考えた方が妥当だろう。

つまり、兄を告発した人物がいるということ。

私はそこまで考えた時、ふと更なる重大な疑問が浮かんだ。



「...そういえば、」



兄の遺体って...どこにあるんだ？
あの時はてっきり赤井さんが処理したもんだと思っていたけど。

考えてみれば......あの状況で処理なんて出来ない。


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