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** 秀一 side
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「...何が言いたい?」
明美が俺の身を案じてくれているのは分かっているが、この状況でその言葉は少々堪える。
俺の何を知って...と口から出そうになる言葉をぐっと堪えて彼女を見た。
「私は大君にそんな危険な仕事をしてほしくないだけなの!」
「......」
これ以上言われてしまったら、自分を制御できそうにない。
自分の身勝手な苛立ちで彼女を木津付けることだけは避けたいから。
彼女が持ってきたであろうバッグを差し出してみたが、彼女は構わず続けた。
「ごめんね、急に変なこと言って。でも...ずっと前から思ってたことだから」
"じゃあ..."と彼女は寂しそうに笑うと、バッグを受け取って静かに玄関のドアを開けた。
鍵が閉まる音がした瞬間、例えようのない後悔に襲われてその場にしゃがみ込んだ。
彼女は静かに怯えていた。
何が言いたいと向けた自分の視線はきっとひどく冷たく突き刺さるものだったのだろう。
「......」
もう、溜め息すらも出ない。
気持ちを落ち着かせるために一服しようと思ったが、立ち上がったところでやめた。
朝に全て吸ってしまったんだった。
空箱を行き場のない怒りと共にゴミ箱にぶち込んだけれど。
そんなものでは収まらない。
...今朝までは、こんなことが起きるなんて思ってもみなかった。
窓の外を救急車とパトカーが走る音が耳の中でこだまする。
お願いだから黙ってくれないか。
お願いだから今だけ...今だけ、一瞬だけでもいいからこの世界で俺を独りにしてくれないか。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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