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どうやらゴンドラの回転は止まったようだ。
制御盤以外にも色々爆破されたようで、煙と炎が辺り一面に広がっている。
警備員の奥にいる刑事らしき人たちが腕時計と睨めっこしている...
ということは、もうすぐ爆破時刻...!
案の定、ここから離れろと呼びかけられた。
まだ彼が乗っているゴンドラを見つけられていないこの状況で、ここから離れられるわけがない!
先ほどの刑事の呼びかけに、他の客たちは一斉に入口の方へ走って行った。
それに巻き込まれないよう、足に力を込めて必死に踏ん張っていると。
「...松田くん!」
短髪の女性刑事が彼の名前を叫んでいた。
今にも観覧車に向かおうとしている彼女を、帽子を被った刑事が引き止めている。
「寄せ、佐藤!もう間に合わん!」
「で、でも...」
間に合わない...じゃあ爆破時刻は!
ちらっと自分の腕時計を見ると、時刻は14時59分30秒だった。
もしや、15時になったら...!
「ちょっとあなた!ここは危険ですから離れてください!」
「え、ちょっと...!」
1人の刑事が私の存在に気づいて近づいて来た。
片腕を掴まれたが、勿論思いっきり振りほどいた。
誰が、誰が彼を残してぬけぬけとここから離れられるか!
「どいてください!彼がゴンドラの中にいるのに!」
「あなた、松田刑事の知り合いですか!?」
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___________ その時だった。
けたたましい爆発音と共に、1番天に近かった1体のゴンドラが炎に包まれたのは。
「...嘘、でしょ......」
本当に彼はあのゴンドラに乗っていたのかも怪しいくらいに。
地面に音を立てて落ちたのは、黒焦げの金属の破片ばかりだった。
その場にいた誰もが、まるで息をするのを忘れたように動かなかった。
私を押さえていた目の前にいる刑事も、もう跡形も無いゴンドラに無機質な視線を向けていた。
「...米花中央病院」
先ほどまで錯乱状態だった彼女が、ぽつりと呟いたのが聞こえる。
もしかして、彼は...!
「米花中央病院!もう1つの爆弾はここです!すぐに爆発物処理班を向かわせて下さい!」
彼女が突きつけた携帯の画面。
よく見えなかったけれど、私は全てを悟った。
彼は市民の命と引き換えに、自らを犠牲にする道を選んだのだと。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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