-the boy genius- ページ19
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その日、私はFBIの仕事とは別の要件でMIT(マサチューセッツ工科大学)に来ていた。
「あ、A姉さん！」
「久しぶり、ヒロキ」
わずか8歳にしてDNA探査プログラムを開発するなどの偉業を成し遂げた若き天才、ヒロキ。
先日お母様が亡くなったと聞いて、一人っ子のヒロキが心配になり今回久々に会うことになった。
「A姉さん、なんで最近学会来なくなったの？」
「んー...ちょーっと色々あってね」
私が国際犯罪捜査班に配属されるまでは、学会などで度々顔を合わせていたけど。
最近は開発なんてめっきりやってないからそもそもの接点がなくなっていた。
「でも、A姉さんが元気そうで良かったよ。なんか僕、安心しちゃった」
「それはこっちの台詞だよ。ヒロキは今どこに住んでるの？」
お父さんは仕事の都合で日本に残ったままだと聞いたから、母親が亡くなった今、彼がどこで暮らしているのか気になっていた。
小学校高学年というと、第一次思春期を迎える頃だろうからきっと周りのことに敏感になっているはず。
まあ...私はそんなことなかったんだけどね。
あのおじさんとおばさんのせいで。
ヒロキの母親とは何度か話をしたことがあって、親子間の関係は良好だったことを知っているから尚更、父親のいないこの国でこれからを過ごすのは彼にとってあまりよくないんじゃないか、と。
あくまで個人的な考えではあるがそう思っていた。
「今はね...シンドラー社長のところにいるよ」
「シ、シンドラー社長って...あのシンドラー・カンパニーの？」
「うん...そう。"僕のところに来れば今まで以上に自由に開発ができる"って」
はー...あの爺さん、ついにヒロキにまで手を出したのか。
自分のチームでは大したもの作れないからって、ヒロキが弱ってる時期につけ込むなんて...。
「でも、僕が欲しいのは設備がそろった開発環境なんかじゃなくて...」
ヒロキの声が震え始めた。
その先に紡がれた、いくら天才と世間から称えられようと決して埋められない大事なものが儚くも崩れ落ちていくかのように。
私たちが通じ合えた、現実と理想の壁。
「またお父さんとお母さんと一緒に暮らしたかっただけなのに...」
"家族"という温もりは、私たちを取り巻く最新の電子機器をどう動かしても手に入れることはできない。
地位や名声を手に入れる代わりに温もりを手放さなければいけないと分かっていたら。
私たちはこの世で出会うことはなかっただろう。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます！r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (
レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか？ (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします！ (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね！もう感動しました。続き楽しみにしています！これからも更新頑張ってください！ (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...！貴重な情報提供をありがとうございます！間違ってなくてよかったです...とても安心しました（＾◇＾） (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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