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** 秀一 side
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少女の親が潜伏しているであろう場所に到着したものの、結果は予想通りだった。
無惨にもフローリングや壁いっぱいに血が飛び散っていて、2人ともこめかみをぶち抜かれている。
これからどうしようかと、両親の遺体を前に泣きじゃくる少女を前にして考えあぐねているとスコッチが思い詰めた表情で呟いた。
"あの子、俺に任せてくれねえか?"と。
何か策があるのかと問うと、奥の手があると返された。
今思えば、あれは彼が所属している警察組織に保護命令を出してもらうことだったのだろう。
Aに証人保護プログラムを受けてもらった時に目を通した資料。
確か兄の職業の欄には...公務員と書いてあった。
もしも彼が日本警察に属しているのであれば、少女の身の安全は確実だ。
とりあえず、"そっち"の件については今は考えなくてもいいだろう。
問題は...
「おい、バーボン」
「なんです?そんなに勢いよく開けたらドア壊れますよ」
スコッチに少女を託した後、すぐにアジトに戻った。
案の定、バーボンが澄ました顔でコーヒー片手に新聞を読んでいた。
息が切れている俺を見ると、ニヤリと口角をあげた。
「...気付いちゃいました?」
バーボンは新聞を置き、椅子から立ち上がるとゆっくりとこちらに近づいてきた。
「まあ、気づいたから戻ってきたんでしょうけど」
「...バーボン、お前!」
「文句ならこの際いくらでも受け付けますよ。死にゆく人間にも発言をする権利はありますからね」
この裏切り者が、と。
彼は確かに俺にそう言った。
俺はこの時、確信した。
俺とスコッチは、バーボンとジンに嵌められたのだと。
「それにしても、なぜあんな"便利な道具"を隠し持ってたんです?組織に腕のいいエンジニアはいないはずだ」
「知り合いに有能なエンジニアがいるもんでな」
「へぇー?では、この引き金を引く前にそのエンジニアの名前も吐いてもらいましょうか?」
目の前の男はジャケットの胸ポケットから拳銃を抜き取ると、銃口を俺の顳顬に押し付けた。
「生憎、それはできない相談だな」
「ふっ...さすが、こんな状況になっても冷静なんですね」
「申し訳ないが、こちらからいくつか質問をさせてはくれないか?」
バーボンは怪訝そうな顔を向けると、仕方ないとでもいうように溜め息を吐いた。
「手短にお願いしますよ」
「あぁ、もちろん」
次の瞬間、彼の顔がみるみる青ざめていったことは言う間でもないだろう。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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