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** スコッチ side
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「っ、何のまねだスコッチ!」
「動くな!」
その投げられる一瞬の隙を狙って、ライのコートの胸ポケットに入っている拳銃を抜き取った。
そし直様体制を立て直して、銃口をライに向ける。
ライは一瞬顔を引きつらせつつも、両手を上げて可笑しそうに少し笑った。
「さすがだな、スコッチ」
息が上がっている自分とは対照的な彼に少しだけ悔しさを覚えた。
もしかしたら俺は、最初から潜入捜査には向いてない人間だったのかもしれないと。
「俺に投げ飛ばされるふりをして、俺の拳銃を抜き取るとは...
命乞いをするわけではないが、俺を打つ前に話を聞いてみる気はないか?」
違う、そうじゃない。
この拳銃は...
「拳銃は...お前を打つために抜いたんじゃない!」
ライは顔をしかめている。
きっと、どういう意味かよく分かっていないのだろう。
...しかし、スナイパーとしての腕だけでなく観察力・推理力にも長けているこの男のことだ。
すぐに分かってしまう。
「...ほぉー」
このライの口癖は俺の把握してる限りでは2パターンしかない。
適当に相槌を打つ時と...全ての事態を察した時。
これは迷いなく...後者だ。
やっぱり、な。
もう、俺には死ぬ道しか残されていないんだ。
お願いだ、ライ。
止めないでくれよ。
「こうするしかっ...」
俺はライに向けていた銃口を自分の胸に押し当てた。
本当は顳顬に当てるべきだが...
生憎、死の間際まで手離したくなかった携帯が残ってるんでな。
ライなら他の奴らが回収しに来る前に抜き取ってくれるだろうけど。
でも、すまない。
これは、あいつとの...たった1人の家族であり、この世で1番守りたかった我が妹の"声"が詰まっているんだ。
冥土の土産に持って行かせてくれないか。
「無理だ」
引き金を引こうとした瞬間、光のような速さでリボルバーを掴まれた挙句、逃げ道も塞がれてしまった。
...やっぱりお前、"デキる男"だよな。
「リボルバーを掴まれたら、人間の力で引き金を引くのは不可能だよ」
"諦めろ、スコッチ"
"お前はここで死ぬべき男じゃない"
...簡単に言ってくれるじゃねえか。
こっちはな...
俺が今死ねば、Aもゼロも闇の世界へ引きずり込まずに済むようになるんだよ。
同じ妹のいるお前なら、分かるだろ?
自分の身を犠牲にしてでも守りたいものが。
お前にもあるはずだ...ライ。
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あーさ(プロフ) - とても深いグリーンさん» ご愛読ありがとうございます!r18タグに関しましては目次のページを御覧下さい♪ (2018年4月19日 1時) (レス) id: 40de11ab60 (このIDを非表示/違反報告)
とても深いグリーン(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます(о´∀`о)ところで話は変わるんですが、どうしてR-18になってるんですか? (2018年4月18日 23時) (レス) id: 629a69f0d0 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 佰さん» なんと嬉しいお言葉...(T^T)書きたいときに書く気分屋野郎ですが、よろしくお願いします! (2018年3月1日 17時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
佰 - すごくいい話ですね!もう感動しました。続き楽しみにしています!これからも更新頑張ってください! (2018年2月27日 21時) (レス) id: e1e57bb127 (このIDを非表示/違反報告)
あーさ(プロフ) - 那月さん» はじめまして(^^) な、なんと...!貴重な情報提供をありがとうございます!間違ってなくてよかったです...とても安心しました(^◇^) (2017年10月1日 20時) (レス) id: 611fb27d39 (このIDを非表示/違反報告)
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