【名探偵コナン】この世に存在するすべての悲しみを私に。-2-

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...来ない。


「A、イライラしたって無駄よ。彼は昔っから"そういう"人間なんだから」
「いやいや、薄々分かってきてはいましたけど！それにしてもなさすぎじゃないですか！」


まただ。
また赤井さんから連絡がこない。

この前、トイレで必要物資の引き渡しを行った際に最低でも1ヶ月に1回は連絡をしろとあれほど言ったのに。


「シュウの辞書に"報・連・相"なんて単語は載ってないのよ。ほらしっかり！」
「一組織の中で働く人間としてアリなんですか...」
「彼は英国(イギリス)人よーA」


机に顔を伏せた私の肩を思いっきり叩くジョディ先輩。
正直、結構痛いのでやめていただきたい。


「なーに、そんなに心配しなくても、君のお兄さんはマメに連絡を寄越してくれているんだろう？」
「そうですけど...というかジェームズさんまで！」
「赤井君に接触した可能性が高い君のお兄さんから変わらず連絡が来るということは、まだ彼の身に何も起こっていないに等しいと思うがな」


団体行動が苦手なのはあの風貌的に察してはいたけど。
確かお父さんが日本人だって前に言ってたから、ちょっとは日本人の気質も混ざっていたって少しも不思議じゃない。

理由はどうであれ、正反対に団体行動が得意な生粋の日本人である私には理解不能だ。


「でも、もうそろそろ無事ってだけじゃ危険な時期かもね」
「あー...確かに、言われてみればそうかもしれないな」


日本に極秘捜査として彼を派遣してから早2年。
そろそろ、何か結果が欲しいところだ。


「まあ、彼のことですから1から10まで全ては報告してくださらないと思いますけどね」
「そうそう！シュウったら、前の件の潜入捜査の時も同時潜入してた私には一切情報共有してくれなかったわ」
「君たちはまだ序の口だよ。私なんか長いこと彼の上司なのに、一度も自分の居場所を教えてくれたことがない」


...うわぁ。
流石に可哀想で、ジョディ先輩と2人でジェームズさんに憐れみの視線を向けた。

確かに、赤井さんと日本で事前調査をしている途中でジェームズさんから何度か電話がかかって来ても速攻で拒否ボタンを押していたような気がする。


「それでも、上司部下問わず信頼が厚いっていうのが...先に行っておくと嫉妬からくる感情ですが、人柄って大事なんですね」
「...A、今日は早めに上がりなさいよ」
「今日で3徹目ですからね」
「今すぐ帰りなさい！」


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