38話 ページ38
貴女side
翌日の朝に退院し、元気に伸びをする。
リーマスの様子を見に行こうと部屋に行くとドアが開いていた。
「リーマス？何してるの？」
「何って、荷造りだよ。」
水魔の水槽は空っぽになり、その傍に使い古されたスーツケースが蓋を開けたまま、ほとんどいっぱいになって置いてあった。
「まさか、セブルスがバラしたの!?バラすなって釘さしといたのに！」
「いいや、A。セブルスは約束を守ったさ。」
「ならどうして、」
「自分から言ったんだ。ホグワーツでまた色々な人に出会った。
皆私に優しくしてくれてとても嬉しかった。」
「じゃあまだいればいいじゃない！」
「だからこそだよ。そんな人達を騙していたんだ。それに誰だって自分の子供を狼人間に近づけたくないだろう？」
「そんな…」
「A。君は優しい。どうかその優しさを他の人にも分けてあげて。特にセブルスに。」
ドアをノックする音がした。
アルバスが入ってきたが私を見て驚いた様子もない。
「リーマス、門の所に馬車が来ておる。」
「校長、ありがとうございます。
それじゃ、さよなら、A。
また君にあえて嬉しかったよ。自分と自分の気持ちを大切に。」
「さらばじゃ、リーマス。」
重々しく言ったアルバスと握手をし、スーツケースと水魔の水槽を引きずってリーマスはいなくなった。
「浮かない顔じゃな、A。」
「そりゃそうよ。友達をまた1人失ったんですもの。」
「旅立ちじゃよ、A。」
「そうとも言えるわね。…でもこの箱庭には私だけ。」
「君が望めばセブルスも一緒にいてくれると思うがね？」
「意地悪ね。分かってるでしょ？私はそんな事望んでないの。」
「なら君が望んでいるものはなんじゃ？」
「死。覚めることのない、永遠の眠り。」
「ではみぞの鏡を見つけた時も棺が見えたと？
わしにはそうとは思えなんだが…」
「あら、あのアルバス・ダンブルドアも間違える事があるのね。」
「ふふ、食えん奴じゃ。」
「君もね。」
ペティグリューが逃げ出した。
シリウスとリーマスが救われてもこれだけは変わらない。
きっとペティグリューはトムの元に馳せ参じ復活の手伝いをするだろう。
決断の時が迫る。
残りの砂はどれくらい？
見当もつかない。
でも私はただ演じ続ければいい。
このグランギニョルを。
恐怖と嘘に彩られるであろう芝居を。
たった一人で。
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夜彩(プロフ) - ありがとうございます！励みになります！ (2018年12月2日 8時) (
レス) id: 3659269758 (このIDを非表示/違反報告)
Lei01(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新ありがとうございます！！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: 5adfb421b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2018年12月1日 16時
