37話 ページ37
セブルスside
「君が傷付く度に我輩は胸が痛くなる。君が死なないと分かっていても。
我輩が防げたのではないのかと何時も考える。
…A。我輩は君を守るのには頼りないか？
力添えも出来ないのか？」
「そんな事ない！ただ…他の人が傷付くのを見たくないだけ。
私なら絶対に傷が治るから…
君がそんなに悩むなんて思わなくて…」
「次からはもっと我輩を頼れ。君一人で背負わなくていいのだ。」
頬に触れようと無意識に伸ばしていた腕に気付き急いで引っ込めようとするとAは我輩の手を掴み自ら頬に当てた。
目を閉じて我輩の手に頬を擦り付ける様にする彼女を愛しく思う。
柔らかく触れる彼女の髪を一束とり弄んでいると彼女の視線が我輩に向き、顔にある傷に釘付けになった。
「セブルス、これ…」
「あの3人にやられた時のものだな。痛くもないし…」
「可哀想に。」
気付いた時にはAの細い指が傷を撫でていた。
その肌の冷たさと柔らかさにぞくりとする。
不意をつかれた我輩が言葉を発する前に指は離れ、何事も無かったかのように彼女は乱れた髪を整え始める。
つくづく不思議な奴だ。
隙を見せないかと思えば、今のような無防備な行動に出たりする。
全てを計算ずくでやっているのだとしたら大したものだが、何故だか我輩にはこれが彼女の素の姿の様な気がしてならない。
「A。」
「なあに、セブルス。」
彼女の碧眼が我輩を捉える。
我輩が彼女を殺すことを迷わせた目。
その瞳は今は青く澄み、我輩だけを写している。
眩しいほど麗しい、君の瞳。
その瞳に我輩を写してくれないと不安で、君が我輩を頼らない事も不安で。
だがそれが君への愛ならば不安さえも愛している。
例え君が我輩に秘密があろうとも我輩は君を。
「愛している。」
「私もよ、親愛なるセブルス君？」
我輩が呟く本気の愛と君が囁く冗談の愛。
本当になればいいと願うが今すぐには無理な話。
軽く抱き締めて早く寝るように言うとまだ寝たくないと甘えた声がする。
仕方が無いと手を握ってやれば驚いた様にした後嬉しそうに握り返してくる。
初めの方こそニヤニヤしたり異様に手を見つめたりして気味が悪かったが、だんだんと時間が経つにつれて瞼が下がっていき、いつの間にか寝息が聞こえてきた。
しっかりと毛布を掛けて顔にかかった髪を払ってやる。
「Good night, my sleeping beauty.」
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夜彩(プロフ) - ありがとうございます！励みになります！ (2018年12月2日 8時) (
レス) id: 3659269758 (このIDを非表示/違反報告)
Lei01(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新ありがとうございます！！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: 5adfb421b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2018年12月1日 16時
