28話 ページ28
ハリーside
バックビークを失った喪失感の中城に向かう。
しかしロンの鼠のスキャバーズが逃げ出し、それをハーマイオニーの猫のクルックシャンクスが追いかける。
僕達が止める間もなくロンは透明マントをかなぐり捨て、猛スピードで暗闇の中に消え去った。
僕達はマントを脱ぎ捨て、後ろに旗の様になびかせながらロンを追って疾走した。
「スキャバーズから離れろ─こっちへおいで─捕まえた！とっとと消えろ、嫌な猫め。」
「ロン、早くマントに入って！皆もうすぐ戻ってくるわ。」
しかし、僕達が再びマントを被る前に巨大な動物が忍びやかに走ってきて大きくジャンプし、僕の胸を打った。
僕は仰け反って倒れたが犬は勢い余って僕から転がり落ちた。
新たな攻撃を仕掛けようと犬が急旋回して唸っているのが聞こえるが、肋骨が折れたのかクラクラする。
犬がまた飛びかかってきた時、ロンが僕を押しやり、犬に引きずって行かれた。
ロンを追って走りだそうとするが何かが僕の横っ面を張り、ハーマイオニーが痛みで悲鳴をあげて倒れた。
杖で灯りを灯し周りを見ると太い木の幹が照らし出された。
スキャバーズを追って暴れ柳の樹下に入り込んでいたようだった。
「ロン！」
木の根元に開いた隙間にロンを頭から引きずり込もうとする犬がいる。
その間にも太い枝が空を切って殺人パンチを飛ばす。
「ハリー、助けを呼ばなくちゃ。」
「駄目だ！彼奴はロンを食ってしまうほど大きいんだ！そんな時間はない。」
「誰助けを呼ばないと絶対にあそこに入れないわ。」
僕はあちらこちらを跳び周り、息を切らしながら凶暴な大枝のブローを掻い潜る道を何とかして見つけ出そうとしていたが、ブローの届かない距離から一歩も根元に近付くことは出来なかった。
するとクルックシャンクスが前に出て殴り掛かる大枝の間をまるで蛇の様にすり抜け、両足を木の節の1つに乗せた。
突如、柳は大理石になったように動きを止めた。
根元の隙間を滑り降りる。
「ロンは何処？このトンネル、何処に続いているのかしら？」
延々と続く通路を進むと雑然とした埃っぽい部屋に着いた。
壁紙は剥がれかけ、床は染みだらけで、家具という家具は、まるで誰かが打ち壊したかのように破損していた。
窓には全部板が打ち付けてある。
床に残る何かが引きずられた跡を辿ると埃っぽいカーテンのかかった天蓋ベッドの脇の床にロンが座っていた。
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夜彩(プロフ) - ありがとうございます！励みになります！ (2018年12月2日 8時) (
レス) id: 3659269758 (このIDを非表示/違反報告)
Lei01(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新ありがとうございます！！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: 5adfb421b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2018年12月1日 16時
