13話 ページ13
セブルスside
第1回のクィディッチの試合の日。
荒れ狂う風に向かいながら大勢の生徒が試合を見に行ったが我輩は身近な嵐に耐えられるか分からなかった。
朝食の間も一言も喋らず、棚を整理したり課題の採点をしたりする時でさえ1回も視線が交わらなかった。
薬品や羊皮紙を置くのにも大きな音をたてる。
初めは我輩も無視していたがだんだんと耐えられなくなって話しかけようと試みた。
しかしその度に無視されるのでその事にもイラつき、全くの悪循環だった。
「セブルス、Aと喧嘩したようじゃのう。
ちとわしは彼女に用があるんじゃが呼んできてくれんかのう。」
今日学校内に入ってきた吸魂鬼についてだろうが面倒事を押し付けたな、狸爺。
仕方が無いのでAを探す。
だが居ないのだ。どこを探しても。
流石にこの天気で外には居ないだろうと思っていたが若しかしたら、という事があるかもしれん。
溜息と共に1歩踏み出した。
風の凄さによろめく。雷鳴が轟き、空がピカリと光る。
そんな中に1人、学生時代からの特等席に座って湖を眺めている彼女がいた。
「A！校長が呼んでいる！さっさと」
防水呪文もかけずに濡れる彼女に言葉を失った。
虚ろな目は今にも湖の底に沈んでしまいそうな雰囲気だった。
「いい加減にしろA！早く城の中に」
「放っておいてよ。助けになんか来ないで。」
「馬鹿者！こんな状態の人間を放っておけるか！大体、雨が降っているのに防水呪文を忘れる奴があるか！」
黙って城の中までついてきた。
途中で防水呪文を掛けたが元から濡れていた分水が滴っている。
部屋に連れていきタオルを出す。
「座れ。拭いてやる。」
「どうして何時も助けに来るの？」
「たまたまだ。…A。もっと自分を大切に」
完全に髪が乾き、その艶やかな髪を撫でていると手を払われた。
「…で」
「なんだ？」
「追いかけて来ないで！髪を撫でないで！優しくしないで！」
それだけ言って物凄い勢いで部屋から出ていってしまった。
”追いかけて来ないで！髪を撫でないで！優しくしないで！”
その全てを君にしてはならないとなると酷く息苦しい事を感じる。
それ程までに彼女を怒らせていたとは。
自惚れていたのは我輩自身だ。
あんなに酷い事を言っておきながら変わらず側に居られると思っていたなんて。
こんな我輩が君に触れる資格などありはしないのに。
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夜彩(プロフ) - ありがとうございます！励みになります！ (2018年12月2日 8時) (
レス) id: 3659269758 (このIDを非表示/違反報告)
Lei01(プロフ) - このシリーズ大好きです！更新ありがとうございます！！ (2018年12月1日 21時) (レス) id: 5adfb421b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2018年12月1日 16時
