第1話 ページ1
貴女side
申し分ない日とは言い難い天気だった。
窓は季節外れの寒さを締め出すためにしっかり閉まっている。
外は窓硝子を覆うように霧が垂れ込めている。
どこか憂鬱だった。
ちょうどその時、部屋に背を向けていた私の背後で軽いノックが聞こえた。
「どうぞ」
「外にいるのが誰か確認した方がよろしいのでは？」
「この時期に私の部屋にわざわざ尋ねて来るのは貴方かセブルスくらいでしょう。ミネルバは賢い子だから私とは距離を取っているし、セブルスは今、ホグワーツに居ない」
クィレルは部屋に入ると、私の許しも得ずにソファに腰掛けた。
この下僕、少し態度が大きいな。
近くの小机に無造作に放置した新聞をチラリと一瞥したクィレルはその一面の写真を指で叩きながら言った。
「次の魔法大臣はルーファス・スクリムジョール…まったくもって、全ては貴女の予想通りですね。気味が悪いくらいに」
「度重なる事件の責任追及でコーネリウスが大臣から退くのは必然。マグルの世界にあるブロックデール橋の崩落、魔法執行部部長のアメリア・ボーンズの死、吸魂鬼の寝返り…
民衆が求めるのは闇の力に対抗しうる強い指導者…元闇祓いで、人生の大半を闇と戦うことに捧げたルーファスの様な…」
「ナルシッサ・マルフォイの行動も予感が的中すると考えてよろしいのですね？」
「…休みが明ければ分かるわ。それでクィレル、報告は？まさか私の頭脳を褒めるために来たわけでもないでしょうし」
「結果的にはそうなりますね。…ダンブルドアがホグワーツから出かけました」
「アルバスの交渉の結果も、新学期と共に明らかになるでしょう。まあ十中八九、彼はホグワーツに来る…なんと言ってもあのハリー・ポッターがいるのだから」
過ぎ去りしあの日々を思い出す。
滅びたはずのものが蘇り、忘れ去られたはずのものが名を思い出し、風化したはずの執念が再燃し、それらが”恋”という名を得て、闇雲に暴走し始めたあの日々を。
───
ナルシッサside
屋敷の窓に垂れ込めていた冷たい霧は、そこから何キロも離れた場所の、汚れた川面に漂っていた。
草ぼうぼうでゴミの散らかった土手の間を縫うように川が流れている。
廃墟になった製紙工場の名残の巨大な煙突が黒々と不吉にそそりたっていた。
「お待ち！シシー、話を聞きなさい」
「もう聞いたわ。もう決めたんだから。ほっといてちょうだい！」
彼を訪ねようとする私をベラが何度も止めようとする。
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真昼 - 最高でした！！一気読みしてしまいました！サラザールが好きなので、とても嬉しかったです！！ (8月27日 7時) (
レス) @page22 id: cd0b763249 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - 素敵な作品ありがとうございます (8月10日 11時) (レス) id: 4edc0c80af (このIDを非表示/違反報告)
夜彩(プロフ) - ありがとうございます！これからもゆっくり更新していくので、どうか最後までお付き合いください！ (2023年3月23日 10時) (レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
イジー - 続編！おめでとうございます！全ての話が面白いです、これからも頑張って下さい！ (2023年3月23日 10時) (レス) @page2 id: c288b38476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2023年3月22日 16時
