第94話 ページ44
ルシウスside
音を立てて開いた扉の方を見上げると、騎士団の面々がいた。
それを認識すると同時に杖を上げるが、私が呪文を唱えるより先に、失神呪文が私に向かって飛んできた。
すんでのところで呪文を弾くが、次々に呪文が雨霰と降ってくる。
兎に角呪文を防ぐことに精一杯で、ポッター達が台座からいなくなっているのに遅まきながら気が付く。
「ポッターが逃げたぞ、追え！」
閃光が飛び交う中で声を張り上げて死喰い人に命令する。
騎士団はそれぞれ階段を下りてきている。
だが騎士団は五人、我らは十一人だ。
騎士団を相手しながらポッター達を追うのは難しくない。
ドロホフやベラトリックス達が戦っている内に、私はポッターを探す。
戦況は目まぐるしく変化する。
私の目線の先にポッターとロングボトムがいるのが見え、踊りかかった。
二人とも仰向けにひっくり返り、呪いを掛けられていたロングボトムの足は裏返しのカブトムシのようにバタバタ動き、ポッターは予言が割れないように左手を高く差し上げた。
「予言だ、予言をこっちに渡せポッター！」
杖先をポッターの肋骨に突きつける。
「嫌だ、杖を放せ…ネビル、受け取れ！」
放り投げられた予言はロングボトムの手に渡り、私もそちらに杖を向けた。
すると肩越しに杖を突きつけたポッターは私に向かって呪文を唱えた。
「インペディメンタ！妨害せよ！」
身体が吹き飛び、台座に激突する。
背中の痛みに耐えながら起き上がり杖を構えると、リーマス・ルーピンが私とポッター達の間に飛び込んできた。
「ハリー、皆を連れて行くんだ！」
ポッターが遠ざかって行くのが見える。
「貴方には私の相手をしてもらおうか」
「狼人間風情が！」
魔力が迸り、呪文が当たって火花が散る。
一進一退の攻防と言いたいところだが、私の方が分が悪い。
何度も倒れ、その度に起き上がる。
「…意外と頑固だな」
「あの御方に稽古をつけてもらった日々を思い出すな」
───
──
─
『ルシウス、もう終わりにしよう』
一陣の風を感じる間隙なく、一閃の間に吹き飛ばされ地面に転がりかける。
暗転一瞬、蒼穹見上げ掛け、無様に伏す訳にはいかぬと必死に身体を捩り体制を戻すのは何度目か。
『いえ、一本取るまでは何度でも』
何が駄目なのか都度思考するが答えは出ない。
『お前も存外、頑固だな』
『譲れませんから』
願わくば背が許される関係でありたいと。
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
