第73話 ページ23
ハリーside
天文学の実技を終えグリフィンドールの談話室に戻ると、そこは満員だった。
明け方の四時近くになるまで、皆が天文学塔のてっぺんで見たことについて話していた。
僕は三時間寝ただけで起きなくてはならなかった。
最後の試験は魔法史で、午後に行われる予定だったが、午前中を最後の追い込みに当てていたので、談話室の窓際にすわり、ハーマイオニーが貸してくれた一メートルの高さに積み上げられたノートを拾い読みした。
五年生は二時に大広間に入り、裏返しにされた試験問題の前に座った。
とにかくこれを終えて眠りたい。
そして明日、ロンと二人でクィディッチ競技場に行こう。
ロンの箒を借りて飛ぶんだ。
そして、勉強から解放された自由を味わうんだ。
「試験問題を開けて。始めてよろしい」
最初の問題をじっと見た。
数秒後に、一言も頭に入っていない自分に気がついた。
高窓の一つに雀蜂がぶつかり、ブンブンと気が散る音を立てていた。
ゆっくりと、まだるっこく、僕は答えを書き始める。
分からないものはとばし、書けるものだけ書いていく。
そして後ろの方の問題を見て、絶対に答えられるものを探した。
十番の問題に目が止まった。
十、国際魔法使い連盟の結成に至る状況を記述せよ。また、リヒテンシュタインの魔法戦士が加盟を拒否した理由を説明せよ。
頭はどんよりして動かなかったが、これなら分かる、と思った。ハーマイオニーの手書きの見出しが目に浮かぶ。
『国際魔法使い連盟の結成』…このノートは今朝読んだばかりだ。
僕は書き始めた。
周りで、誰も彼もが慌てて巣穴を掘るネズミのような音を立てて、羊皮紙に羽根ペンで書き付けていた。
ボナコーは何をしてリヒテンシュタインの魔法使いを怒らせたんだっけ？
トロールと関係があったような気がするけど…
目を閉じ、両手に顔を埋める。
ボナコーはトロール狩りをやめさせ、トロールに権利を与えようとした…しかし、リヒテンシュタインは特に凶暴な山トロールの一族に手こずっていた…それだ。
目を開けた。
ゆっくりとトロールについて二行書き、そこまでの答えを読み返した。
この答えでは情報も少ないし詳しくもない。
しかしハーマイオニーの連盟に関するノートは何ページも何ページも続いていたはずだ。
僕はまた目を閉じた。
ノートが見えるように、思い出せるように…
連盟の第一回の会合はフランスで行われた。
そうだ。でも、それはもう書いてしまった。
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夜彩(プロフ) - atheneさん» ご指摘ありがとうございます。私自身もおかしいなとは感じていたので…また何か誤字、脱字等ございましたらお気軽にお知らせ下さい (2022年7月27日 13時) (
レス) id: bd39633a4b (このIDを非表示/違反報告)
athene(プロフ) - クィレル先生は「クウィレル」ではなく「クィレル」です。とても面白いので、いつも楽しみにしています！二人の関係の切なさがなんともいえません！ (2022年6月13日 0時) (レス) @page26 id: e8c4b441c6 (このIDを非表示/違反報告)
理音(プロフ) - 続き気になります！更新楽しみにしています！ (2022年3月30日 2時) (レス) id: d1bb6ccd48 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - お久しぶりです泣 楽しみに待ってました泣 (2021年12月23日 22時) (レス) @page12 id: b1e8907435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜彩 | 作成日時：2021年8月4日 1時
