#48「へっへーん、私の25連勝!」 ページ1
「へっへーん、私の25連勝!」
「くっ、なんで勝てねえんだ!」
田中くんとAは、暇を潰すためあっち向いてホイ対決をしていた。
これも、田中くんがこの姿であるから出来ることだ。
「畜生、もう一回だ!」
「いいよ!何度でも受けて立つよ!!」
その時、石扉を叩く音とアルカの声が聞こえた。
「A!Aっ!!」
「ア、アルカ!」
Aがアルカの名を呼び急いで石扉を開けると、アルカが真っ先に駆け寄って来てAの手を握った。
「無事で良かった…本当に」
Aが、途中でレーリィが襲ってきて、田中くんが戦った事を伝えると、田中くんにも深々と頭を下げた。
「Aを守ってくれて、ありがとうございました…!」
田中くんは、酷く動揺していた。
「いや、…っその、オレ、咄嗟にあんな事言ったけど…お前の役目奪ったみたいで…ご、ごめん…」
目を合わせて言うのは照れ臭いのか、目をそらして歯切れの悪そうに謝る。アルカは、慌てて首を振った。
「いやいや、キミはよくやってくれたわよ〜。…それに、2人の仲も深まったでしょ?」
セドナが田中くんの肩をポンポンと叩くと、田中くんは素っ気なく振り払う。
「……別に、そんなん無ぇよ。」
コホン、というメルスの咳払いによって、一行の注目は彼に集まった。
「君が焔の勇者で間違いない?」
「焔…?多分私それ。あなたが導師メルスさん?」
「メルスでいいよ。さぁ、早く教会に戻って治療をしないと。オレまだ導師としては未熟だからさ、神聖な場所で少しでも神の力を借りないと出来ないんだ」
頭を掻きながらメルスが言うと、またラルフの案内によって教会へと一行は歩き出した。
そして、教会に着くと、メルスはアルカ達を奥の集会室に入れ、丁度人数分用意された椅子に座らせた。田中くんは心配そうにメルスに問う。
「…おい、大丈夫なんだろうな」
「心配しないで。…ただ、申し訳ないんだけどちょっと時間がかかるから、暫く待っててね。ラルフにお茶を入れさせておくから。」
「あっ、分かりました!メルス様!」
「…もう、ラルフは変わらないなぁ。ふふ…久しぶりの治療だから、気をつけないと…」
そう呟きながら、メルスはAの待つ礼拝堂へと消えた。
ラルフがお茶を入れる為に椅子から立ち上がると、紅が笑う。
「ラルフの入れるお茶は絶品だ、味わって飲むんだぞ。俺もいつも公務のお供に…」
「仕事の7割を僕に押し付けておいて、よくそんな事言えますね?」
紅は言葉を詰まらせた。
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作者名:蓬莱あむ(ほうらいあむ) | 作成日時:2017年8月11日 3時