繁華街 ページ44
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真夜中なのにざわつく繁華街。目に痛いピンクのネオンにどこか既視感を感じて、私は一度道の隅っこで足を止めた。
あの看板もあの客引きも見た事がある、という事はここは新宿か池袋かその辺りだろう。つい最近までのパトロールルートだ。アパートの場所とは全然違うが。
……今回の敗因はなんだろう。乗る電車を間違えたのか、降りてから何かを間違えたのか。いや、今更考えてもどうしようもない。私は思考停止した。
むしろ幸運なのかもしれない、とすら思う。ここから前勤務地の交番までの道はギリギリ覚えてる。
そこに一旦立ち戻り、いつも使っていた出入口から再スタートすれば帰れるだろう。２年も通ったのだ、流石に迷うことはない。
あとは志摩さんに「なにかあったら呼んでください」とか大見得を切った事を懺悔するだけ。うんそれだけ。
ふとポケットからスマホを取り出して、真っ暗な画面に息を吐いた。ちかりと通知を確認しても、志摩さんからも先輩からも何の連絡も入っていない。
「……でもまあ応援要請もなし、と」
ないとは思ってたけど、とセルフ突っ込みをしつつ、私は薄い四角を元の場所に突っ込み直す。
志摩さんには話しすぎた自覚があった。何を思ったのか、あの話が先輩に伝わるのかは知らない。
けれど、彼の驚きと嫌悪、そして少しの哀れみが混じったその視線は純粋な正義を貫いてきた警察官特有のそれで、誤魔化しの姿勢に入った私は呆れるくらい警官らしくなかった。
バツが悪くなって、逃げるみたいに署を出て。
ついさっきまで居た屋上を見上げて目を凝らせば、ちょうど志摩さんが先輩に手を差し出す所だった。ずっと虚空を見ていた先輩は透明な雫を幾つも流して、それでもしっかり志摩さんの手を取る。
やっぱり私は要らなかったな、とか。404多分走れるな、とか。そんな事を流すみたいに考えて、見えなくなるまでまた逃げたらこのザマで。
「……ほんとに、どっから間違えたかなぁ」
足を止めたまま、繁華街のど真ん中で独りごちた。返事なんてあるはずもなく、視界の情報だけがくるくる変わる。ーーー刹那。
目の前がお留守だったのか、がつんと思いっきり何かにぶつかった。鼻先に擦れる布の感触の後、気付けば地面に手をついていて。
「スミマセン！大丈夫ですか？」
まともに通行人と激突したのだ、と気付くまで鈍くも数秒。はっと我に返った時には、心配そうな少年の顔がこちらを覗き込んでいた。
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夜空 -Night Sky-(プロフ) - 果さん» はい！もちろんです！ (2021年5月31日 1時) (
レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
果 - 莉子さん» 莉子様、ありがたいコメントを頂き感無量です…！長らくお待たせしてしまいましたが続編作成致しましたのでそちらもまたお願いいたします。 (2021年5月17日 14時) (レス) id: 5cf2525d27 (このIDを非表示/違反報告)
果 - 夜空 -Night Sky-さん» またまたお久しぶりです！続編作成致しましたので、そちらものんびりとお付き合い頂ければ幸いです！ (2021年5月17日 14時) (レス) id: 5cf2525d27 (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 本当にすきな作品です。続きが楽しみで仕方がありません！！！応援してます！ (2021年2月21日 2時) (レス) id: acfcc10f6f (このIDを非表示/違反報告)
夜空 -Night Sky-(プロフ) - 果さん» こちらこそ素敵な作品をありがとうございます！...くずみぃいいい() (2021年2月14日 23時) (レス) id: 2b2a41cc61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：果 | 作成日時：2020年7月30日 22時
