ゆがみ ページ6
今日は平日
仕事終わりの彼女を家に呼んでくつろいでいる。
しかし、どうも彼女の様子がおかしいのだ。
「なあ」
「はい!」
かわいく返事をしてくれるが、どこかぼーっとしているように見えてAのおでこに手を当てる。
「んー、熱はないみたいだけど」
「どうしたんですか?」
「なんか、今日変だなって。」
「変?」
「お前が」
そんなことないですよ、と笑っているがやっぱりおかしい
「なんかあった?」
「え?えへへ、別に〜」
少し震えた声でヘラヘラ笑って立ち上がった彼女
「は?泣いてんの?
やっぱ何かあったんだろ。こっちおいで」
イヤイヤと首を振って部屋の隅で泣き出す彼女
いったい何がどうしたというのだ。
立ち上がって彼女の背中を抱きしめると、少し落ち着いたのか少しずつ話し始めた。
「今日、裏道さんが会おうって言ってくれて、嬉しくて同僚に話したの。好きな人が、今日家に来ていいよっていってくれたって。」
好きな人とは俺のことだろうと思うとこんな状況でも頬が緩んでしまう。
「でも、付き合ってないんでしょって、言われて…
都合良く扱われてるだけだって。
…そうなの?ねえ、私って裏道さんの何?」
涙が溜まった瞳と目が合う。
俺の何?
そんなの決まってる。好きな人、恋人。
結婚だってAとならしてもいいと思ってる。
今更この関係を明確にするなんて、恥ずかしい。
そう思って黙り込んでいると、彼女が更に涙を溢れさせて俯く。
彼女のふわふわの髪が俺の首元をくすぐった。
「裏道さん、私のこと名前で呼んでくれることほとんどないし、今日だって…会う時は絶対、その…するし…
始まり方がアレだったから?
私は、裏道さんの彼女になれないの?」
「何言ってんだよ」
「私、めんどくさい?」
「別にそんなことないけど」
鼻を啜りながら涙を流し続ける彼女にどう接すればいいかわからずに少し距離を取る。
違う女なら面倒だと思うが、Aはこのままにしておけない
どうしようかと考えていると、彼女が立ち上がって自分の荷物をまとめ始めた。
「おい、何してんだよ」
「今日は帰ります
私、なんかおかしいから」
泣きながら玄関に向かう彼女を追いかける。
小さな背中がさらに小さく悲しげに見えた。
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作成日時:2021年10月1日 23時