死神 ページ27
Side.ショッピ
「……そんな事が…」
ショッピが全てを話し終えた後、猿山が軽く驚愕の声を上げた。
「…信じられますか？こんな事」
「んー、ある種俺と同じような感じだし、信じられない事はないよ。ただ……」
「ただ？」
「……『俺が力になれる』って言うのは…よく分からないや」
猿山が眉間にシワを寄せる。
「特別な力がある訳でもないし、俺自身も自分の事を理解出来てないんだよ？……なのに、俺にできる事なんて……」
「……そうですか…」
幽霊というだけでも異質なのでは。
言いかけた言葉を飲み込んで、ショッピは窓の外を見る。
さっきまで夕焼けが広がっていた空も、今はすっかり夜空で色付いている。
時計を見ると、針は7時50分ぐらいを指していた。
＿＿コツ。コツ。
……不意に、音沙汰の無かった廊下に響く奇妙な靴音が二人の耳に入った。
「！」
「………」
慌てて廊下に出ようとする猿山をショッピが右手で制する。
コッソリ、美術室の壁から廊下を覗くと、見慣れた後ろ姿がそこにあった。
「しにがみ先生！」
ショッピが美術室から飛び出し、しにがみに駆け寄る。が、何やら様子がおかしい。
いつもなら笑顔であちらから駆け寄ってくるし、今回の場合、情けない泣き声を出しながらこちらに来る事かとばかり思っていた。
しかし、こちらを振り向いたしにがみはショッピの顔を見てもうんともすんとも言わない。それどころか、顔には何の表情も浮かんでいない……無表情なのだ。
異変を感じ、ショッピはしにがみから距離を取る。そこから見た彼のバイオレットカラーの右目には、何も写っていなかった。
死神が完全にこちらを振り向くと、左目が紫色に紅色を無理矢理入れたような濁った色で染まっているのが分かる。そちらの目にも、やはりショッピは写っていなかった。
しにがみなのに、しにがみじゃ無い。
それが、ショッピが受けた最初の印象だった。
「せんせ…い？」
その瞬間、しにがみの右手に何か光るものが見えた。
鎌だ。
「は、」
ショッピがそれを認識するのと、しにがみが右手を振り上げるのは、ほぼ同時の出来事だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楼(プロフ) - ただの黒砂糖さん» おめでとうございます!! (2020年7月18日 23時) (
レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 10000hit………え？？うせやろ？？？ (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 楼さん» ちょっとヒント与えすぎたかなHA☆HA☆HA……コメントありがとうございます(賢者タイム) (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
楼(プロフ) - sn君よ…君が鬼なったこともお兄ちゃんが誰なのかも丸わかりだ (2020年7月18日 20時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 114514さん» 読まれていた…だと……！？あ、コメントありがとうございます。 (2020年7月3日 18時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ただの黒砂糖 | 作成日時：2020年4月19日 13時
