ホイッスル ページ20
Side.ショッピ
勢い良く開けた扉の先には……
何も無かった。
いや、正確にはごく普通の教室の光景が広がっているだけだった。
「まぁ…なんとなく分かってたわ」
教室の中を見たチーノがポロリと言葉を零した。それを聞いたエーミールが目を白黒させながらチーノの方へ向き直る。
「チーノさん分かってたんですか!?」
「俺らに危害を加えるつもりやったんなら、俺らが合流する前の方が都合が良い。それに罠なんてそんなご丁寧な事せんでも俺らは丸腰なうえに子供の体。直接攻撃した方が早いやろ」
「そっか……というかそれを早く言って下さいよ!」
「…流石探偵。嘘に関しては一流ですね」
「いや〜褒めても何も出えへんぞ〜」
ショッピの発言にチーノがわざとらしく頬を掻く。
「でもまあ、ここに何も無いっちゅう事では無さそうですね」
「探してみる価値は有るんやない?」
そんな発言を耳に通しながらショッピは教室の奥に進んだ。
教卓の前でザッと教室中を見回す。
小さなサイズの机が規則正しく並べられているが、その上に目星い物は特に無い。
奥に飾られた習字はこのクラスの生徒達の作品だろう。奇麗なものの隣に並べられたアンバランスな文字が書かれた半紙を見て無意識にそう思う。昔はあまり気にしてなかったが、飾られた人にとっては公開処刑のようなものだ。
左背後を見ると自身の背丈の二倍程はある一般的な黒板と、チョークを手に取るエーミールがショッピ視界に映る。
「何してるんすか」
「ん?いや、なんとなくです。職業柄よく持ってるので、やっぱり手に馴染むなーって……因みにチョークの名前の由来は未固結の石灰岩の名前からで………」
長くなりそうな事を察し、エーミールの言葉を受け流す。ペラペラと言葉を重ねる彼にショッピが適当な返事をしながら目線を右往左往と動かしていると、目線の端に黄色い物体が目に入った。
(何やあれ……)
疑問に思い、エーミールをガン無視して事務机の上を見ると黄色に塗色されたホイッスルがちょこんと乗っていた。それを手に持つ。重さからしてプラスチックだろうか。
昔持ってたなー。なんて考えながらそれを口へ運び、息を吹きかける。
ピー
よく聞くホイッスル音が教室中に響いた。
「ん?ロッカーの中に何かあるんやけど」
ホイッスルに懐かしさを感じているとチーノが背後で声を上げる。
ホイッスルを首に下げ、チーノのもとへ歩みを進めようとした瞬間
開け放たれた窓から強風が吹き荒れた。
53人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楼(プロフ) - ただの黒砂糖さん» おめでとうございます!! (2020年7月18日 23時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 10000hit………え??うせやろ??? (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 楼さん» ちょっとヒント与えすぎたかなHA☆HA☆HA……コメントありがとうございます(賢者タイム) (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
楼(プロフ) - sn君よ…君が鬼なったこともお兄ちゃんが誰なのかも丸わかりだ (2020年7月18日 20時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 114514さん» 読まれていた…だと……!?あ、コメントありがとうございます。 (2020年7月3日 18時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ただの黒砂糖 | 作成日時:2020年4月19日 13時