先生 ページ22
Side.チーノ
「……取り敢えずあんたは何なん？幽霊なん？」
額に汗を浮かべたチーノが幽霊に尋ねると、幽霊は顔を顰める。
「幽霊！？あんな恐ろしいものと一緒にしないでよ！俺はそう……
妖精だよ☆」
「幽霊やな」
「幽霊っすね」
「幽霊ですね」
「酷くない？？」
冷めた表情で言葉を重ねる三人に対して、若干涙目になる自称妖精。しかし、彼はまだ諦めない。
「いやでも、キャワイイ顔してると思わない？ほら！」
そう言ってチーノの顔にぐいぐい幽霊が近づいて来る。正直言って彼の顔は可愛いと言うより…不気味だ。^ら^みたいな顔してるし。
「可愛くはないな」
チーノが思った事をそのままドストレートに直球で投げると、それを受け取った幽霊は涙目のままエーミールを見る。
目を向けられたエーミールも困惑顔で目線を下げた。ここで、ショッピがある事を思い出ような素振りで胸元に手を持っていく。
「そういえば幽霊さん。このホイッスルに心当たりはありますか？」
「あ！それ俺のだ！」
幽霊がエーミールの側を離れショッピの方へと漂って行く。喜々とした表情で。
「いやー助かったよ、妻に貰った大切な物なんだ」
「妻？」
「ん、あぁそっか。実は俺、元人間なんだよね」
その言葉に三人は目を見開く。幽霊はそれを予想していたかのように教卓の方へ移動すると、何かを語り始めた。
「俺さ、ここの教師…だったんだよね。やんちゃな生徒達と一緒に馬鹿騒ぎしたり、叱ったり、喜びあったり……。だけど、ある日をきっかけにその日常は終わった」
子供の頃を懐かしむように話していた幽霊の表情が、曇る。
「……俺の生徒が交通事故にあった。目の前で轢かれたんだ……トラックに。それを知った他の生徒達の顔を、俺は忘れられなかった。そんな時、とある噂を耳にしたんだ」
幽霊はそこで言葉を区切り、息を吸うと再び言葉を紡ぐ。
「『零柁小にある神社がどんな願いでも叶えてくれる』っていうね」
「……まさか」
「うん、願ったよ。『生徒を助けるチャンスを下さい』…ってね。勿論戸惑った。でも、これ以上悲しそうな他生徒の顔を見たく無かった。……藁にもすがる思いだったよ。」
チーノは無意識に両手で耳を塞いだ
正直、彼の話をこれ以上聞きたくは無かった。彼は知っていたから。大切な人を目の前で失う事が、心にどれだけダメージを負うか。そして重ねてしまったから。
悲痛な声を上げながら、友を助けてくれと神に願った愚かな自分と。
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楼(プロフ) - ただの黒砂糖さん» おめでとうございます!! (2020年7月18日 23時) (
レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 10000hit………え？？うせやろ？？？ (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 楼さん» ちょっとヒント与えすぎたかなHA☆HA☆HA……コメントありがとうございます(賢者タイム) (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
楼(プロフ) - sn君よ…君が鬼なったこともお兄ちゃんが誰なのかも丸わかりだ (2020年7月18日 20時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 114514さん» 読まれていた…だと……！？あ、コメントありがとうございます。 (2020年7月3日 18時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ただの黒砂糖 | 作成日時：2020年4月19日 13時
