飲み会 ページ2
頭に強い痛みが走り、小さな嗚咽を漏らしながら彼_ショッピは起き上がった。
「あ、ショッピ君起きたん?」
そんなショッピの右側に座っていた男、チーノが、まだ半分程しか飲んでいない缶ビールを右手で揺らしながらショッピの顔を覗きこむ。
瓶底眼鏡のせいで目は見えないが、口角の上がった口元から察するに、今の出来事を見ていたのだろう。
「……おはようございます。最悪の目覚めですよ」
「まぁ机の角に思いっきり後頭部ぶつけてたもんな。なかなかおもろかったで」
カラカラと笑うチーノを前に、ホンマ最悪。と、ショッピはため息を溢した。
「…あれ、エミさんは?」
「冷蔵庫につまみないか探しとる」
先程…自分が寝る前は向かい側に座っていたはずの元同級生の姿を問えば、チーノはクイッと親指で背後にあるキッチンを指差す。そちら方を見ると、見慣れた背中が冷蔵庫の前に立っていた。
下に目線を移すと、所々に揚げ物のカスや空になった枝豆が乗った大皿の姿が視線に入る。さっきまでかなりの量があったのに…なんてショッピ考えているうちに、先程まで話題に上がっていた人物が戻ってくる。
「一応、ワインのつまみ用に買ってあったチーズとサラミだったらありますけど、ビールに合いますかね?」
「大丈夫じゃないですか?しらんけど」
エーミールが大皿を机に置けば、すぐさま小腹が空いていたショッピが腕を伸ばす。
「ま、ショッピ君は起きたし、つまみは復活したし、もう一缶開けるか!」
「その手に持ってるモン飲んでからにして下さいね。チーノさんが寝落ちした後誰が飲み切ると思ってるんすか」
「んぇー、ええやん別に。なんか違うの飲みたい気分やねん」
「あはは……」
薄紫、橙、茶色、三色の声がエーミール宅に響き渡る。
この三人は同じ年の零陀小卒業生、つまり元同級生だ。中学校に上がってからは進学先の部活のスケジュールや家の都合などであまり会うことが出来なかったが、良く連絡をとり合っていた為、友情が途絶えることは無かった。
しかし二十歳を過ぎた今、こうした軽い飲み会などで会うことが多くなったのだ。
今は仕事の愚痴や相談など、社会人ならではの会話に花を咲かせるようになっていた。
その姿はまるで、親友そのものだった。
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楼(プロフ) - ただの黒砂糖さん» おめでとうございます!! (2020年7月18日 23時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 10000hit………え??うせやろ??? (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 楼さん» ちょっとヒント与えすぎたかなHA☆HA☆HA……コメントありがとうございます(賢者タイム) (2020年7月18日 23時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
楼(プロフ) - sn君よ…君が鬼なったこともお兄ちゃんが誰なのかも丸わかりだ (2020年7月18日 20時) (レス) id: c0af763869 (このIDを非表示/違反報告)
ただの黒砂糖 - 114514さん» 読まれていた…だと……!?あ、コメントありがとうございます。 (2020年7月3日 18時) (レス) id: 93e33a038d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ただの黒砂糖 | 作成日時:2020年4月19日 13時