|(しば、むし) ページ46
困惑した表情を見せるA。
「俺のことそういう目で見れないのわかってるけど、
言わせて欲しい。」
「一生大事にする、その覚悟は出来てる。」
私の方を向いて、真剣な顔で告げられる。
いつもはおどけている事が多いのにカメラの前はおろか普段でも見せないような顔をしている。
そんなギャップに動揺しながら顔が熱くなっているのを感じた。
恥ずかしくなって顔を手で隠そうとするとその手を離さない、とばかりに強く握られる。
『しばゆー…くん……。』
どうする事も出来なくてただ見つめる事しか出来ないA。
しばゆーは、手を繋いだままゆっくり彼女の方へ距離を詰める。
身体と数cmの所で止まり、Aにキスをするように顔をゆっくり近づける。
そして、窓側に隠すように繋がれていない方の手で隠す。
窓側サイドから見ると、完全にキスをしているように見える。
てつやが焦りバタバタとしているのを横目で確認し思わずニヤニヤしてしまう。
キスしていないが、Aは呆然と俺の顔を見つめている。
「ドキドキした?」
照れたような表情を見せコクっと頷く彼女。
すると、ガラガラとドアが開けられる。
「なーーにしとんじゃー!!」
てつやの怒号が響き渡った。
5人目…虫眼鏡。
設定:
虫眼鏡の家にお邪魔してゆっくり休憩している所。
「はい、どーぞ。」
5人目という事で時間があった分、想像力で補うのではなく実物を用意してきた。
コトッ
撮影場のテーブルに真っ白なマグカップが2つを置かれる。
虫眼鏡はコーヒー、Aはココア。
湯気が立つカップの中を彼女は覗くようにして息を吸い込んだ。
甘い香りが充満して幸せそうな顔を見せ、1口飲む。
『やっぱりココアはいいですねー。』
しみじみとした感じでAが言う。
「子供舌だねー。」
『一応、私…コーヒー飲めるんですよ?』
「はいはい…。」
胸に影響があるからで…と力説している彼女を後目にコーヒーを啜る。
なんてない会話をしながらゆったりと時間を過ごす。
不意に恋愛の話へと展開していく。
「Aちゃんはどんな子がタイプなの?」
『…どんな子、そうですねー。』
悩む素振りを見せる彼女。しばらくして…
『一緒にふざけ合えたり出来る人がいいですね!』
「なるほどね、
なんだか…親友みたいなカップルだね。」
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作成日時:2021年3月15日 11時