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Aがお風呂を済ませると、としみつがドライヤーを準備していた。
「おいで。」
としくんに髪の毛を優しく触れられ乾かされていく。
『至れり尽くせりですね…。』
「俺と付き合ったら得しかない。」
なんて言われながらゆったり時間を過ごし
夜も更けていく。
「じゃあ、俺ソファで寝るわ。」
『それはちょっと申し訳ないです…。』
「今日は、ご褒美なんだから引き目に感じる必要ないって。」
でも…、と納得いってないような表情を見せる彼女。じゃあどうする?と聞くと
『…ジャンケンなら平等です!文句なしです!』
勝った方が自分の寝たい場所を勝ち取れるという事でジャンケンをする。
「はい、俺の勝ち。ソファで寝まーす。」
『うーー…。』
「ジャンケンは平等なんでしょ。
はい、戻った戻ったー。」
としみつが手を払うようにヒラヒラと動かすと
Aは渋々寝室で向かった。
ー30分後
彼女がドアに隠れてこっそりの俺の方を覗いている。
「なーーにーー。」
『やっぱり一緒に寝ませんか?』
……はい?
男を同じベッドに上げるって意味分かってんのかこの子は。
友達だけど、男だとまたちょっと違うじゃん…。
悶々と心の中で葛藤し、
分かったと言ってAとベッドに向かう。
ベッドの上には可愛らしい某ネコ型ロボットの毛布が掛けられている。
ふふ、とAが笑う。
『可愛らしいですね。』
「可愛いっしょー?気に入ってんの。」
楽しそうに布団の中で会話をする二人。
そして、段々と眠気が襲ってきて彼女が眠りについた。
すやすやと気持ちよさそうに眠るAの顔に見蕩れて優しく頭を撫でる。
そして、ソファに戻ろうとすると
ぎゅっと服の裾を掴まれる。
『いかないで…』
寝ぼけた声で呼び止めるA。
再び葛藤する。
なんでそんな可愛いことする?
ここ離れんかったら何するか分からんよ俺。
掴まれたまま、振り返らずに聞く。
「ここにいて欲しいの?」
『……はい。』
遠慮がちに答える彼女。
ふーーーっと大きく息を吐く。
落ち着け、Aは別に誘ってるわけじゃない。
普通に一緒に寝たいだけ…。
普通に……ふつう…、この場合の普通ってなんだ。
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作成日時:2021年3月15日 11時