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学校からでも、少しだけ甘い匂いが届いてくる
___金木犀の匂いだ
それにしても、こんな遠くまで香るんだから金木犀ってすごいよね
「バイバイ〜また明日ね」
『バイバイ!』
放課後、友達と学校で別れた後、私は昨日と同じ道を辿る
同じ道って言ってもここが私の帰り道だし、別に特別なことはないけど。
でも、金木犀が咲いているときはここの道も特別かのように感じる
一歩一歩進んでいくにつれて、匂いがもっと強くなる
何だか、胸がキュンとするような匂い
私、金木犀に恋しちゃってるのかな?金木犀ガチ勢過ぎて笑えるな
でも好きなものは好きだし、周りが何と言おうとも別にいいんだ
だって本当に好きなんだもん、金木犀
…そろそろ公園に着く頃だな
濃厚で甘い匂いが鼻の奥まで入り込むような感覚。
やっぱりこの匂いが私には一番効くらしい
・
公園に着くと…どうやら先客がいたみたい
やっぱり公園に来てるの私だけじゃないよね!金木犀いい匂いだし
しかも学校の制服着てるじゃん。同い年くらいってこと?
年齢近くて金木犀好きとか、私と友達になれる要素しかない。逸材。
もっと金木犀がある方に近付きたくて、前へと歩いていくと
『えっ』
思わず声が出た
だって、あまりにも金木犀みたいだったから
いや、色はそこまで似てないけど
金木犀は橙色だけど、すごく似ていると思った
刹那___金色の髪をした男の子が振り向く。
毛先に少しだけオレンジがかかっていて、まるで金木犀みたい
髪の色はすごく明るいけど、下がった太眉が優しそうな雰囲気を醸し出していた
彼は少し驚いたような顔をしたけど、ふわりと微笑んで
「すごく香りますよね、ここの場所」
弾むような声で私にそう言った
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作者名:ミユモン | 作成日時:2021年10月24日 21時