始まり ページ6
伊藤side
乃木坂46最終審査、合格発表の寸前。
椅子に座り、待っている状態だけど…正直空気は地獄。
笑ってしまうくらい、地獄。
俯いて顔が見えない人ばかり。
まぁ…こんなにキョロキョロしている方がおかしいんだろうけど…
そっとため息を着くと司会の方が出てきて、名前が順に呼ばれ始めた。
呼ばれる人、呼ばれない人。
さぁ…私はどっちに着くんだろう。
下を向いて黙り込んでいると、40番台の発表になった。
「45番 橋本奈々未。」
あ、隣の人呼ばれた…
ちらっと隣を見ると既にその人は歩き出していて。
…橋本さん、かぁ、綺麗な人。
「46番 伊藤A。」
『…はい。』
…呼ばれたのか。
脳内の処理速度が追いついていない状態のまま壇上に上がる。
…このカメラの量、ライトの明るさ、…懐かしいな。
私が久しぶりの感覚に浸っている間に合格発表は幕を閉じたらしい。
控え室にカバンを取りに行くと、受かって泣いてる人、落ちて泣いてる人。
泣いている人ばかりで発表前より地獄の雰囲気だった。
様々な涙の間を縫ってカバンを取りに行く。
『…あ、ごめんなさい。』
「え、あ…こちらこそ。」
急いで抜けようとしたからか、1人の女の子とぶつかった。
あ、さっきの…橋本さん。
会釈だけして、私は橋本さんの横を通り抜けた。
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作者名:そら | 作成日時:2022年10月1日 16時