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『…こっち側の問題だから気にしないで。ごめんね。』

「いや…大丈夫、ですけど…」

『優しいんだね。若月さん。…同い年だったよね?タメで話そ?』

「え、うん…わかった。」


伊藤さんはふわりと笑って自販機のボタンを押した。
ガコンっとペットボトルコーヒーが落ちてくる。
私も水のボタンを押して、伊藤さんの横に腰掛けた。


『…若って呼んでいい?』

「え、若?」

『うん。なんか…若月じゃなくて、若!って気がする…w』

「なにそれ…wじゃあ私もAって呼ぶ。伊藤さん確か3人いたから…」

『…え、3人もいたっけ…』

「いたよ!w万理華ちゃんと、寧々ちゃんと、A。」


Aは顎に手を当てて考え込む。
…もしかして、人の名前覚えるの苦手な人?


「人の名前覚えるの苦手?」

『お恥ずかしながら?w』



そう言ってAは手に持っているブラックコーヒーを飲んだ。



『仕事モード入れば覚えるのは特i「伊藤、ちょっといいか?」…ごめん、呼ばれちゃった。
はい!今行きます。』


急にAがスタッフさんに呼ばれる。


「え、Aもしかしてこれから仕事…?」

『それは無いけど…多分打ち合わせだと思う。』

「打ち合わせ?…大変なんだね。」

『大丈夫大丈夫、心配しないで。
…早く寝た方がいいよ?明日、レッスンだから。初めてだと色々思うこともあるだろうし…
緊張してるだろうけどそういう時こそ寝た方がいいよ。おやすみ。』



そう言ってAはスタッフさんのところに走っていった。
あれで、同い年なんだもんなぁ…
遠ざかっていくAの背中を見ながらふと思う。
…芸能人って、芸能界って人を変えるのかな。
それとも、元々Aが大人っぽすぎるだけなのかな。



「…寝よ。」


2つの疑問を払拭するように、私は一気に水を飲んだ。

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作者名:そら | 作成日時:2022年10月1日 16時

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