_ ページ12
ホテルに着くとAはなかなかバスから降りてこず、みんなが降りた後にゆっくりと降りてきた。
『あぁ、ここやったんや。いいところだよ。』
「A泊まったことあるん?」
『仕事で何回か、ね…
地方組のために用意してくれたと思うと、すごいな。』
「なんでそんな他人事なん〜?」
『私、今日多分ここ泊まらんし…w』
「え、A泊まらへんの?!」
そう言ってAの肩を掴むさゆりん。
そんなにグラングランしたらA死んじゃうって…
Aは手でさゆりんを止めてから軽く笑った。
『私、これから仕事あるからさ。前の事務所の方との契約の話とかマスコミの対処とか…色々考えなきゃいけないこともあるしね。』
「このホテルに帰っては来ないん?」
『んー…元々そのつもりはなかったけど…
明日のスタジオここからの方が近いから…ここ泊まろうかな。』
「ほんと?じゃあ、私ロビーで待ってる。」
『え?!大丈夫だよ、遅くなるし。疲れてるでしょ?』
「…それはそうだけど、Aのこと待ってたい。」
『私としては寝て欲しいけど…じゃあ、待てそうなら待っといて。』
Aは私にそう告げると手を振って、車に乗り込んだ。
車の窓を開けてふらふらっと手を振るA。
どこかに行ってしまいそうで、感じたことのない不安感を覚えた。
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:そら | 作成日時:2022年10月1日 16時